2022 Fiscal Year Annual Research Report
Beyond the principle of optimization: diversity of cross-modality mapping
Project/Area Number |
18K12017
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
牧岡 省吾 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (60264785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共感覚 / 自己組織化学習 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,共感覚現象の特徴である不規則性や個人差が自己組織化学習の枠組みによって説明可能であること,同様な不規則性や個人差が非共感覚者を対象とした実験でもみられることを明らかにしてきた. 2022年度は,非共感覚者における数字と性別の対応において共感覚者と同様な特性がみられるかどうかを検証する実験を,授業の一環として実施した.Simon taskを用いて,数字と性別の対応関係において,共感覚者と同様な個人間での多様性がみられるかどうかを検討した.参加者は,数字が5より大きいかどうかを,数字の左右に呈示されるキューに基づいて反応することを求められた(例:5より大きければ「男」という文字がある方のshiftキーを押す).実験の結果,性別のステレオタイプに由来すると思われる傾向(大きい方の数字は「男」の方が速い)はみられたものの,数字と性別に関する共感覚(Ordinal linguistic personification)で見られるような不規則性は観測されなかった. 研究期間全体では,上記の他に次のような成果が得られた. 1)共感覚を持たない人を対象に,数字と色のマッピングに関する心理実験を行った.数字と色の間で自己組織化学習に基づくマッピングが形成されているという証拠は,必ずしも得られなかった. 2)共感覚を持たない人を対象に,8方向に配置した2つの数字の大小を判断してもらう実験を行った.反応時間分布から推測される数の空間配置は参加者ごとに異なっており,かつ不規則であった.これは数字と空間に関する自己組織化学習が非共感覚者において生じていることを示唆する. 3)理論的考察に基づく論文「共感覚と自己組織化学習:共感覚はどのように生成されるのか,なぜ消えないのか」を日本認知科学会学会誌「認知科学」に投稿し,掲載された.
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