2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12021
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
寺井 仁 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (30397442)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 規則発見 / 階層性 / ライフゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
局所的な規則性(下位規則)から大局的な規則性(上位規則)が創発される,階層的規則性は,科学が対象とする現象一般に認められる普遍的な性質の一つである.パターン認知や構えの効果に代表される認知特性から,人は上位規則を選択的に認知し,それに固執することが予想される.本研究では,このような階層的規則性における規則発見のプロセスを検討するため,2次元セルオートマトンの一種であるライフゲームを規則発見課題として用いた.ライフゲームでは,セルの変化を規定する局所的な下位規則と初期状態の組み合わせから種々の大局的な上位規則が創発されることが知られている.ライフゲームを規則発見課題として用いることで,上位規則の有無を実験的にコントロール可能となる.実験参加者には「セルが次の世代にどのように変化するかを決めている規則(下位規則)」の発見を求める. 本年度は,下位規則とそこから生み出される上位規則からなる階層的規則性を有する現象に対する認知と,上位規則が下位規則の発見に及ぼす影響について,基礎的な検討を進めた.また,これに加え,現象に対する介入の有無(観察のみを行う場合,観察に加えてセルの変化を自分でも操作可能な場合)の効果についても検討を行った. その結果,参加者が生成した仮説の分析から,下位規則の探索において,上位規則に固執し続けることが確認された.加えて,たとえ,上位規則が存在しなくても,参加者は積極的に上位規則に類する規則を見出す傾向にあることが明らかとなった.また,現象に対して介入を許されてもなお,上位規則に固執し続ける傾向にあることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創発された大局的な規則性(上位規則)が,局所的な規則性(下位規則)の発見に与える影響に関して,基礎的な検討を進めた.当初予定していた一部の要因については,次年度検討することとなったが,新たに検討対象に加えた要因についての実験を実施ししており,全体としておおむね順調に進展したといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,初年度に実施予定であったノイズの有無が及ぼす影響に加えて,反省的思考や異なる視点を共有することの効果について,実験的な検討を進める予定である.
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Causes of Carryover |
物品の購入を次年度に繰り越したため,次年度使用額が生じた.
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