2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症動態解明のための局所的類似度に基づく脳構造ネットワーク解析
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18K12025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舞草 伯秀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (80631069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRI / 構造ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、3D T1経調MRI における局所的類似性に基づいた単一被験者の灰白質(Gray Matter:GM)構造ネットワークによる解析を、個々の側頭葉性てんかん(Temporal Lobe Epilepsy:TLE) 患者に初めて適用した。 TLEの片側海馬硬化症の患者51名(左TLE22名、右TLE29名)と、年齢・性別をマッチさせた健常対照者51名を比較対象とした。各被験者の3D T1強調MRIをStatisical Parametric Mappingにより灰白質画像に分割し、単一被験者の構造ネットワークを抽出した。ノードは大脳皮質の解剖学的関心領域、エッジは統計的な類似性の高い領域をつなぐものと定義した。 抽出した局所的類似度の相関行列は、グラフ理論的手法を用いて解析し、グローバルな指標(正規化パス長 正規化経路長λ、正規化クラスタリング係数γ、スモールワールドネットワーク値δ)と 局所的な指標(間隙中心性、クラスタリング係数、特性パス長)を求め健常群と疾患群で統計的に比較した。 対照群と比較して、TLE患者はグローバルな指標では統計的に有意な変化を示さなかった。一方局所的な指標では、左TLE患者では、同側の側頭葉を越えた広範囲でのクラスタリング係数の低下と 同側の側頭極では特徴的な経路長の減少が見られた。その一方で 右TLEでは、同側の側頭葉に限局したクラスタリング係数の低下が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で自宅でのリモートワークが続いているが 倫理上およびデータセキュリティの観点から、臨床データの自宅への持ち出しができないため、データへのアクセスが制限されているため、データ解析に大きな遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果により、横断的な脳変性疾患の指標に局所類似性に基づくネットワーク解析が有効であることを示した。一方、縦断的な解析についてはコロナ禍の影響のため遅れがみられている。リモートワークによるデータアクセスを活用するなどして解析を加速していきたい。 解析アルゴリズムの改変を行う。多時点による縦断データからシングルサブジェクトテンプレートを作成し、解析バイアスの発生しないレジストレーションを実施する。レジストレーションされた多時点画像に共通の解剖学的関心領域を設定し、局所的類似度に基づくネットワーク解析を実施し、ネットワークの縦断的変化率を健常群と比較する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による学会の中止・オンライン化に伴い、旅費・学会参加費の使用が制限された。 解析PCの追加購入など、解析プラットフォームの充実に充てたい。
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