2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Prediction System for Spine Morphology in Treatment of Pectus Excavatum
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18K12034
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
永竿 智久 香川大学, 医学部, 教授 (20245541)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胸郭変形 / シミュレーション / 力学解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前胸部が先天的に陥没している漏斗胸に対しては、矯正バーを肋骨に装着して陥没部分を押し上げる矯正手術が行われる。この手術を行うと、前胸部の矯正効果が背部に連動して、脊椎の形状にも影響が及ぶ。漏斗胸の患者は脊椎の側弯を併発している場合が多い。手術に伴い側弯が増悪した場合、脊椎に対する手術をあらためて行う必要が生じ、患者にとり大きな身体的負担となる。そこで本研究においては、胸郭がいかなる変形パターンを呈する場合に、脊椎の側弯を増悪させる可能性が高いのか、臨床症例のprospective studyを行うことにより、法則性を解明する。 まず、胸郭を有限要素モデルに変換したうえで、手術を力学的にシミュレーションするシステムを開発する。このシステムを用いて、個々の症例において脊椎に作用する力の大きさを算出する。続いて、術後に実際に生じた脊椎の形態変化につき、レントゲン画像を用いて計測する。脊椎に作用する力と、実際に生じた形態変化の相関を評価することにより、どのような状況下で手術を行うと脊椎の側弯が増悪するのかについて、法則性を解明する。 本研究は2018年より開始しているが、2018年においては胸郭を3次元コンピューターシミュレーションモデルに変換する方法を開発した。2019年には同モデルに対して仮想上の負荷を加え、その変位を計算する手法の開発に力点を置き、研究を進めてきた。 研究に必要な解析技法についてはおおよそ開発ができているので、2020年度においては実際の臨床症例に対して、事後的に脊椎に発生した力を算出し、これを実際に脊椎に起こった変化と対比することにより、両者の関係を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するには、胸郭の一部分(肋軟骨)に力が加わった場合、その他の部位(脊椎)に対していかなる影響が及ぶのかを計算する必要がある。このためには胸郭のCTデータから3次元コンピューターモデルを作成する技法と、これを用いて有限要素解析を行う技法が必要とされる。このうち前者については2018年度にほぼ技法を確立した。2019年度には計算技法の確率を主眼において研究を進めてきた。この点、胸郭の各部分にどのような物性値を与えるべきか、計算の手法は陽解法を用いるべきか、陰解法を用いるべきかなど、具体的な手法については現在のところ試行錯誤を続けているが、計算の解を得ることはおおむね可能になっている。ゆえに大要においては順調に進行していると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年4月時点において、本研究の核心的技術である、胸郭の3次元モデル化ならびに計算技法の大要についてはほぼ確立している。研究期間は2020年度が最終年度であるので、開発した計算技法を用いて実際の臨床症例の評価を行い、手術に伴って脊椎に発生する応力がいかに脊椎の形態に影響するのかにつき、臨床的な検証を行う。そして両者の相関について統計的な評価を行う。これにより、手術を行うにあたってはどの程度まで「無理に」肋軟骨に対して強制的な負荷を加えると、脊椎の形状に対して影響が生じうるのかを解明することができるはずである。 これを解明することができれば本研究の目的はいったん達成されるが、もし時間的な余裕が生じた場合には、施設内の倫理委員会の許可を経たのちに、手術前の患者に対しても、本研究で得られる所見を適応して治療を行う。
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Causes of Carryover |
本研究においては複雑な解析計算が必要であるので、計算技術について有償のサポートを株式会社JSOLより受ける。2019年度までは計算の基礎的技術の開発に主眼を置いていたために、実際の計算を行う機会は少なかった。このため解析サポート料の支出も限定されていた。しかし2020年度には解析計算を臨床例に応用する。ゆえに繰り越し分の金額をサポート料として支出する。
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Research Products
(2 results)