2018 Fiscal Year Research-status Report
Optimal design of a hydrodynamically levitated centrifugal blood pump by design of experiment techniques
Project/Area Number |
18K12049
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小阪 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10415680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血液ポンプ / AI / 動圧軸受 / 実験計画法 / ニューラルネットワーク / 多目的最適化手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期の心肺補助に使用される体外循環用血液ポンプは、短期使用が前提である接触式の軸受を採用しているため、危機的状況を脱した後の耐久性や血液適合性が課題である。提案者らは、中長期の体外循環への適用を目的に、非接触駆動が可能な動圧浮上遠心血液ポンプを開発してきた。しかし、血液ポンプの設計は経験をもとに試行錯誤で進めざるを得ず、非接触軸受である動圧軸受の狭い軸受隙間に起因する溶血や血栓形成、低回転数時のインペラの不安定性が課題となっている。本課題では、人工知能(AI)を用いた革新的実験計画法により、人工心肺適用時の高回転駆動から人工心肺離脱後の低回転駆動まで、長期耐久性と血液適合性に優れた体外循環用動圧浮上遠心血液ポンプの最適設計を行う。AIを用いた革新的実験計画法は、連携研究者らが提案している多入力多目的最適化手法と機械学習を統合した最適化手法である。本最適化手法は、実験計画作成(Plan)、実験を実施(Do)、得られたデータを機械学習(Check)、遺伝的アルゴリズムによる多目的最適化(Action)することで、従来のCheckとActionに重回帰分析を用いた最適化手法と比べ、必要最小限の実験回数で、多入力多目的な複雑システムの最適解を簡易に探索可能である 平成30年度は、動圧軸受の軸受剛性を高め、インペラのより安定した非接触駆動を実現するため、AIを用いた最適設計法を開発し、動圧軸受の溝形状の最適化を実施した。具体的には、溝形状の異なる複数の動圧軸受の設計モデルに対して、数値流体(CFD)解析を用いて軸受性能を算出した。その後、ニューラルネットワークを用いて機械学習を実施し、多目的最適化手法を適用することで、軸受性能を最適とする動圧軸受の形状を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施予定であった動圧軸受の軸受剛性を高め、インペラのより安定した非接触駆動を実現するため、AIを用いた最適設計法を開発し、最適な動圧軸受の軸受形状を求めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和1年度)以降、溝形状の異なる動圧軸受プレートを試作し、動圧軸受の軸受発生力と溶血量を評価可能な評価装置を用いて、軸受形状の最適化の妥当性を評価する。また、平成31年度(令和1年度)後半より、血液ポンプの浮上特性の最適化を行うため、これまで提案者らが開発してきたインペラに作用する力の釣り合いを利用した非接触駆動法の設計パラメータの決定にAIを用いた最適設計法を適用する。最終目標は、体外循環時に想定される低回転数(1000 rpm, 25 mmHg)から回転数(4200 rpm, 500 mmHg)の駆動条件で、従来の試行錯誤での設計では達成困難な100μmを超える軸受隙間を実現し、血液適合性試験において溶血性能が市販ポンプよりも優れることを示すことである。
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Causes of Carryover |
AIで最適化された動圧軸受の評価用プレートの試作を次年度実施するため、残高が生じた。次年度前半に試作を実施予定である。
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