2019 Fiscal Year Research-status Report
SHG光計測による瞬時大変形した赤血球の膜損傷の可視化と損傷度の定量
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18K12055
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 高伸 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (00468852)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 赤血球 / SHG / 損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
リン脂質二重層に電気と物理的ストレスを印加することで,SHG観察がリン脂質二重層の損傷度定量化の手法として有効であるかどうかを検討した.2019年度の成果は以下の3つに集約される。(1)電気穿孔を実現するための実験装置を作製し,ニワトリ赤血球の膜への損傷を確認した.パルス電圧を大きくすることで,より少ないパルスで溶血が発生することが明らかとなり,パルス電圧を変化させることで膜に与える損傷を変化させることができることが示された.(2)リポソームを作製し,リポソームに電気刺激を与えた時のSHG輝度変化を調査した.パルス電圧を変化させることで膜に与える損傷を変化させたところ,電圧条件によってSHG輝度値変化は異なることが明らかとなった.(3)赤血球をY字管マイクロ流路に流動させ,物理的な損傷を与えた時の膜SHG輝度を計測した.その結果,マイクロ流路の流動に伴い赤血球膜SHG輝度値が低下することが明らかとなった.以上より,パルス電圧をかけたことによって,リン脂質の二重層より構成される膜のSHG輝度値の変化傾向が異なることが明らかとなった.これは,パルス電圧のかけ方によって膜の損傷度が変わることに起因すると考えられ,SHG観察がリン脂質二重層の損傷度定量化において有効である可能性が示唆された.また,赤血球を壁に衝突させたことでSHG輝度値が低下したことから,短時間かつ一度の膜損傷についてもSHG観察により定量化できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SHGによる細胞膜損傷の可視化に成功しており、また、マイクロ流路を用いて赤血球に損傷を与えた際にSHG光がどのように変化するのかについても観察できた。予定していたタイムラプスについては測定系の精度から困難であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においてマイクロ流路に流した赤血球のSHG光が低下することは確認できたが、これが膜の損傷によるものであるのか、あるいは、単純に流路を通過したことで生じたのかについては明らかではない。そこで、2020年度は、壁に衝突させない状態で赤血球を流動させ、それを参照値とする実験を行う。また、赤血球を壁に衝突させる速度を変えた場合で膜損傷がどの程度変化するのかについてもも明らかにする。さらに、実験後に回収した赤血球を再び流路に流し,繰り返し赤血球に力学的負荷を与える.これによって,赤血球膜の損傷度およびヘモグロビン漏出はどのようになるかを調べる.このように、2020年度は、赤血球膜損傷の程度評価、また、それにともなうヘモグロビン流出との関係について明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験はおおむね順調に進んでおり、特に問題はないが、3月に予定していた海外出張がコロナウィルスの問題で取り止めになったため。
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