2018 Fiscal Year Research-status Report
顕微ブリルアン散乱分光法による1細胞レベルでの癌診断
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18K12058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石飛 秀和 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20372633)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブリルアン散乱 / 1細胞レベル / 癌診断 / 粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、S/N向上を目的として、輪帯照明とアイリスを用いて入射光方向と異なる方向に散乱される散乱光を検出することで、基板/サンプル界面からの正反射レイリー光成分を抑え、相対的にブリルアン散乱光成分を増強させることを試みた。細胞観察には基板と細胞との屈折率差に由来する基板/細胞界面からの入射光の正反射光成分が大きいことと、細胞の厚さが15-20 μm程度であることから、細胞からのブリルアン散乱光を検出することは困難であった。テストサンプルとして水を入れたガラスボトムディッシュを用いた。励起光として波長532 nmのシングルモードレーザー、分光光学系として直交2段VIPA(Virtually Imaged Phased Array)、検出器としてEMCCDカメラを用いた。実験の結果、アイリスの大きさおよび瞳面上での位置を最適化することで、ガラス基板と水との界面に光を入射した場合においても、水のブリルアン散乱光を検出することに成功した。輪帯照明とアイリスを用いない場合、集光点をガラス基板上から水中に20 μm以上移動させても、正反射レイリー光成分が強すぎて、水のブリルアン散乱光を検出できなかったことから、本手法の有効性を確認した。また、液体には存在せず、固体にのみ存在する横モード音波によるブリルアン散乱スペクトル測定を試みた。上記と同じ光学系を用い、サンプルとしてポリカーボネートを用いた。その結果、弱いながらも縦モード音波によるブリルアン散乱光だけでなく横モード音波によるブリルアン散乱光を測定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞からのブリルアン散乱光検出において、課題であった、界面からのレイリー光成分を輪帯照明とアイリスを用いることで抑制することに成功し、細胞観察への目星がついたことから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はサンプルとして生きた細胞を用いる。癌化した細胞と健康な細胞とのブリルアン散乱光スペクトル上での優位な差を見つけることが重要であると考える。レーザー光の強度と照射時間の最適化だけでなく、照射するレーザー光の位置による差異を調べる予定である。
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