2019 Fiscal Year Research-status Report
生体内環境を構築したリアルタイムin vitro血管透過性評価法の開発と応用
Project/Area Number |
18K12061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳瀬 雄輝 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40452586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インピーダンスセンサ / 血管透過性亢進 / 慢性蕁麻疹 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管透過性の変化は蕁麻疹・血管性浮腫等の病態と密接に関与している。その詳細な機序の解明は、治療法・治療薬の選択において極めて重要となるが、複雑な血管透過性の動態を正確に評価できる解析法はない。本研究では、表面プラズモン共鳴イメージング(SPRI)センサとインピーダンス(IMP)センサを利用して、血管内皮細胞同士の結合状態を、光学的・電気化学的指標の両面から、無標識、二次元的、リアルタイムに解析可能な血管透過性評価装置を開発する。さらに、センサ上に血管内、または血管外の生体内環境を模擬した反応場を形成し、生体内の反応を忠実に再現したin vitro 血管透過性評価モデルを確立する。最後に、血管透過性の亢進が原因となる慢性蕁麻疹病態で起こり得る反応を上記モデル上で再現し、細胞・血漿成分等の複数の要因が複雑に関与する病態の全容解明と効果的な治療薬の探索に応用することを目的としている。 本年度の研究では、目標の1つであった屈折率と電気抵抗を同時に測定可能なSPRI-イメージングセンサを開発し、国際誌に発表した。また、インピーダンスセンサを利用した血管透過性亢進評価モデル(血管内モデル)を利用して、慢性蕁麻疹の病態におけるTF発現細胞として、末梢血の単球も重要な役割を担っている可能性を明らかにした。さらに、慢性蕁麻疹の起点である血管内皮細胞のTF発現に、末梢血好塩基球が関与している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目も引き続き、課題1:センサチップ上屈折率分布変化、インピーダンス変化同時解析(SPRI-IMP)センサの開発、課題2: センサチップ上に生体内環境を模擬したin vitro血管透過性評価モデルの開発、 課題3: In vitro慢性蕁麻疹モデルの構築と効果的な治療薬探索への応用の研究項目をそれぞれ進めてきた。その結果、課題1におけるであったSPRI-インピーダンスセンサを完成させ、その成果を論文として報告した(論文情報は概要参照)。また、インピーダンスセンサによる血管透過性評価システムを利用して、慢性蕁麻疹における単球の役割を解明した(論文については概要参照)。さらに、慢性蕁麻疹の起点であるTF発現に、好塩基球が関与している可能性を明らかにした。このように本年は計画以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はインピーダンスセンサ、及び今回開発したSPRI-インピーダンスセンサを利用して、センサ上に慢性蕁麻疹が起きる条件を構築し、センサ上に蕁麻疹で起こりえる環境を構築して、時間的、空間的におこる慢性蕁麻疹の詳細なメカニズムを明らかにする。さらに、センサ上に慢性蕁麻疹が起こり得る状態を構築した状態で、その反応を抑制する物質の探索を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で、2,3月の学会が無くなり、旅費が必要なくなったため。 また、同じ理由で、試薬の納入が年度内にできなかったため。 繰越し分は、昨年度購入できなかった試薬の購入と、対面で発表できなかった研究成果の発表用の費用にあてる。
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