2020 Fiscal Year Annual Research Report
Detection of gap formation between vascular endothelial cells by biosensor
Project/Area Number |
18K12061
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳瀬 雄輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (40452586)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 慢性蕁麻疹 / 血液凝固 / 補体 / マスト細胞 / 好塩基球 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管の内壁は血管内皮細胞が互いに結合してバリア構造を形成することにより、通常、細胞・血漿タンパク質等の物質は通過できない。しかし、血管内外での炎症、腫瘍血管等の病的な状態では、血管外に血漿成分、免疫担当細胞が漏出し浮腫・膨疹(蕁麻疹)の形成、炎症の増悪に繋がる。血管透過性の亢進は血管内皮細胞の収縮に伴う細胞間隙の増加が原因であり、血管透過性を亢進する物質としてはヒスタミン等が知られているが、未解明の血管透過性亢進機序が多く存在する。そのため、血管内の細胞、血漿等の液性因子を含む生体内環境下で血管透過性変化の過程をin vitroで評価することができれば、血管内皮細胞に直接作用する物質の反応のみならず、長時間にわたり血管内・組織内の細胞・タンパク質の反応を複数介する複雑な血管透過性亢進メカニズムの解明、さらに効果的な治療薬の探索に応用できる。 上記を可能にするため、本研究では、光学的原理に基づく表面プラズモン共鳴イメージング(SPRI)センサと、電気化学的原理に基づくインピーダンス(IMP)センサを組み合わせることで、両者の長所を生かし、従来法では不可能であった時間的、二次元空間的分解能を持った細胞間結合状態を解析するシステムを開発した。また、IMPセンサ上に血管内皮細胞と血漿成分を加え血管内の環境を模擬した、in vitro血管透過性評価法を開発した。さらにそれを利用して、上記の環境に慢性蕁麻疹の増悪因子を加えると、いくつかの組み合わせで血管内皮細胞上に組織因子(TF)が高発現し、血漿存在下で強い血管透過性亢進が起こることを明らかにした。さらに、単球、血管内皮細胞と血漿成分の共存在下で、単球が発現するTFも血管透過性の亢進に寄与することを明らかにした。本成果は、難治性の慢性蕁麻疹の新しい治療法の確立につながるものと期待する。
|