2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of motile sperm sorting system by control of sperm motility
Project/Area Number |
18K12069
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (70443223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 耕児 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (40530621)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒト精子 / 運動精子 / ATP / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)底面に精液チャンバー、多い孔を介した上側に培養液チャンバーがあるマイクロ流路を作製した。このデバイスでは、上側に培養液を添加した際にはオブラートが溶解し、中間フィルム層の微細孔が培養液で上下チャンバー間を導通し、運動精子が泳ぎあがることを期待した。上記のマイクロ流路を作製し・運動精子の選別を試みたが、運動精子の選択的回収が困難であった。 2)ヒト精液をPBSで希釈した際にグルコース/PBS溶液を添加した場合とそうでない場合の精子運動を比較したところ、グルコース溶液を精液に添加10分後の曲線速度および頭部振幅が増大した。グルコースを利用した鞭毛運動の加速が見られた。そのため、ヒト精子においてグルコースの解糖系によるエネルギー代謝を経て鞭毛運動が活性化すると考えている。また、細胞内にATPが存在する際に化学発光が観察される試薬を添加した際には、精子が存在している場合には化学発光が観察された。そのため、この化学発光強度がATP産生の評価に使えると考えている。 3)ヒト精子内にタンパク質の発現を確認するために遠心処理による洗浄前後の精子をウエスタンブロットで評価した。その結果、解糖系に存在する酵素であるGAPDHおよび3PGDHの発現が確認された。2)と3)の結果から、解糖系の酵素によって産生されたATPやNADHなどの還元性の高エネルギー物質が精子の鞭毛運動に活用されることを示唆しており、その定量性評価を今後行う予定である。上記の結果は、これまでの我々の研究で得られたMTTやレサズリンを用いた酸化還元指示薬との呈色反応で得られたものと同傾向である。今後は、精子内のエネルギーを産生する酵素の活性と運動性との相関を検証し、哺乳類精子が短期間または長期間運動できるような環境を見出す方針とする。その結果、不妊治療における運動精子選別効率、体外受精や人工授精の成功率の上昇を目指す。
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Research Products
(4 results)