2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of bioactive bone cement applicable for the cases with osteoporosis and periprosthetic infection
Project/Area Number |
18K12076
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 公志 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (00437229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 利之 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80806828)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 生体活性骨セメント / 酸化チタン / 人工関節置換術 / 骨粗鬆症 / インプラント周囲感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工関節の弛みの原因となっている、骨と直接結合できないというPMMA骨セメントの欠点を克服するため、我々は世界で初めて、骨と直接結合する酸化チタン微粒子をPMMAに混ぜた生体活性骨セメント(オセジョイン)を開発し、その骨伝道能を調べ、従来のPMMA骨セメントに比べて有意に生体活性能に優れていることを明らかにしてきた(Goto: Biomaterials 2005, J Mater Sci Mater Med 2008, Fukuda and Goto: J Biomed Mater Res B 2010, Acta Biomater 2011)。ビーグル犬の股関節にこのセメントを用いて人工股関節を固定した場合の荷重環境下においても、優れた骨―セメント界面の固着性が得られることを証明した(Imamura and Goto: J Biomed Mater Res B 2018)。また、膝関節内荷重環境下におけるオセジョインと骨との固着性についても、市販のPMMA骨セメントと比較して、有意に高いことを証明した(論文作成中)。一方、骨粗鬆症患者における人工関節置換術は、インプラントの周囲骨折や弛みのリスクが大きくなるが、生体活性骨セメントが、骨粗鬆症環境下でインプラントの安定性の向上に寄与できるかどうかはこれまで証明されていない。また、インプラント周囲感染は人工関節置換術における重大な合併症の一つであり、抗菌薬含有セメントスペーサーを用いた治療が行われているが、オセジョインが抗菌薬を徐放させる担体として市販のPMMA骨セメントより有用なのかは不明である。まず、オセジョインを骨粗鬆症患者に用いた場合にインプラントの安定性をより向上させてくれるのかを検証する為、日本白色家兎で骨粗鬆症モデルを作成の確立とそのモデルにおける骨結合能の確認を目指して実験を行ってきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
12匹の日本白色家兎を卵巣摘出群(OVX群)、卵巣摘出後にメチルプレドニゾロンを8週間1mg/kg/dayの量を筋肉注射した群(OVX+MP群)、施術を加えなかった群(Sham群)に分け、それぞれの群に全身麻酔の下で硬化させた骨セメントの円柱体を市販のPMMA骨セメントとオセジョインをそれぞれ片側の大腿骨外側にドリリングして作成した4カ所の穴に埋植する実験を行った。それぞれ6週と12週で屠殺し、μCTを用いて大腿骨遠位の骨密度の評価を進めている。さらに、骨セメントと骨との接着強度をpush-out testを用いて評価を進めている。取り出した標本に軸方向にInstron-type testing machineで圧をかけ、破断強度をインプラントと骨との接触面積で除してinterfacial shear strenghを算出した。骨密度については、6週でOVX群が498.3 ±17.7 mg/cm3 、OVX+MP群が458.3 ±6.76 mg/cm3 、sham群が510.8 ±11.5 mg/cm3と、OVX+MP群で有意な骨密度の低下を認めた。現在12週の群でのBMDの解析を進めている。Push-out testの結果については、全てのデータが揃ってはいないが、6週、12週の全てのグループにおいて、オセジョインが市販骨セメントと比較して高い接着強度を示しており、6週に比較して、12週で高い接着強度を示していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、骨粗鬆症モデルでの標本作成と解析を進め、骨密度の低下していることが確認できた標本におけるpush-out testの結果を収集し、骨粗鬆症モデルにおけるオセジョインの有用性の評価を行っていく予定である。組織学的評価を行うだけの標本数が得られていないが、これ以上の骨粗鬆症モデルの日本白色家兎の作成は、資金的にも無理がある為、骨粗鬆症モデルの実験結果に関して、膝関節内荷重環境下での骨伝導能の評価とあわせて論文を作成することを現在検討している。オセジョインを抗菌薬徐放セメントスペーサーとして用いた場合の有用性を評価する実験に関しては、熱耐性のあるアミノグリコシド系抗菌薬であるゲンタマイシンを0,1,2,4%含有させて骨セメントを作成して、強度測定を行う予定である。さらに、生理食塩水中にそれぞれ含侵させて、抗菌薬の徐放性をfluorescence polarization immunoassayを用いて確認する。さらに、10週齢の雄のSDラットの脛骨に径1mmのK-wireを用いて膝近傍からリーミングを行い、径1mm×2cmのセメント硬化体を髄腔内に埋入後、大腿骨遠位関節面に容量を調節した黄色ブドウ球菌を滴下して閉創する。7, 14日後に屠殺してインプラント抽出液、脛骨抽出液を作成し、Agarプレート上で37℃で12時間incubateしてコロニー形成を確認する。現在予備実験を行っているが、培養実験の結果にばらつきが多く、定量的な評価を行うための、実験モデルの改変に取り組む予定である。
|
Research Products
(7 results)