2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of ePTFE graft having both anti-thrombogenicity and regeneration capacity of tunica intima
Project/Area Number |
18K12087
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柿木 佐知朗 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (70421419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊井 正明 大阪医科大学, 研究支援センター, 講師 (10442922) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ePTFE / 人工血管 / ペプチド / 固定化 / 血管内皮細胞 / 内膜様組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、研究計画調書に記載の「(3)ペプチド固定化ePTFE製人工血管の作製と内膜再生性の評価」を中心に検討し、以下の成果を得た。 Ac-(Tyr-Lys)3-Gly3-Leu-Asp-Val (YK3)を固定化したePTFEパッチ(長径1.5 mm, 短径1.0 mm)をラット右頸動脈に作製した孔を塞ぐように縫合した。移植2週および4週後に開存性の確認と組織学的評価を実施した。移植3日間の生存率が、未修飾ePTFEパッチでは約60%であったのに対し、YK3固定化ePTFEパッチでは約90%と顕著に高い傾向が認められた。未修飾ePTFEパッチでも移植部位は開存していたことから、移植部位でできた小さな血栓が脳や肺を塞栓したものと予想しており、今後、詳細な解析が必要である。移植3日間生存したものは、その後も生存し続けた。移植2週および4週後では、未修飾およびYK3固定化ePTFEパッチのいずれもが開存していた。ePTFEパッチ内腔面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、両群で顕著な血栓形成は認められず、内膜様組織の被覆が認められた。移植2週後の組織被覆率は未修飾群で約70%、YK3固定化群で約90%であった。移植4週後の組織被覆率は、両群ともに90%以上であったことから、YK3を固定化することで内膜様組織の再生が促進されることが示唆された。 本研究では、(Tyr-Lys)3アンカーを利用することで、ePTFE表面にフィブロネクチン由来ペプチド(LDV)を簡便な一反応で安定に固定化することに成功した。ePTFEへのペプチドの固定化によってin vitro評価系では血管内皮細胞の接着の大幅な向上が、ラット頸動脈移植モデルを用いたIn vivo評価系では内膜様組織の再生促進が認められた。すなわち、本研究のペプチド固定化技術はePTFE人工血管の高機能化に有用であることが示唆された。
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