2019 Fiscal Year Research-status Report
立体臓器チップ構築に向けた細胞単層の自動3D化技術の基盤開発
Project/Area Number |
18K12088
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
岩井 良輔 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 講師 (60611481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神吉 けい太 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (10516876)
船山 麻理菜 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (30713599)
森脇 健司 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (50707213)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 臓器チップ / 組織工学 / 動物実験代替 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
全身の薬物動態である吸収(A)、分布(D)、代謝(M)と排泄(E)(ADME)を評価できる培養系、即ち人体の臓器を培養皿に再現した「生体/臓器チップ」の実現には、培養皿上でADMEの役割を担う細胞が生体内の環境に近い薬剤反応性を発揮できるように、それぞれの細胞種に適した2次元(2D)単層、あるいは3次元(3D)組織の形態に作り分けそれらを連結させる必要があるが、そのような細胞操作技術はほとんど開発されていなかった。 平成30年度は、我々の開発した接着細胞の自己凝集化誘導技術(CAT)とシリコーン微細加工技術を用いて細胞(凝集化のモデル細胞として間葉系幹細胞を用いた)の2D接着-3D組織の連結構造体を作製することに成功し、その形状を線維状や球状に制御することにも成功した。 また、作製した組織体の物理学的な力を計測することによるメカノバイオロジー的手法による新規の薬効・毒性系の開発として、細胞に働くkPaオーダ以下の極微力な力を検出可能な高分解能のフィルム型応力センサの作製に成功した。 令和元年度は、薬効・毒性評価のモデル細胞としてヒト肝癌細胞、血管内皮細胞や骨格筋細胞を用いて、CATによりそれらを3D組織化することに成功した。 さらに、3D組織体の収縮力計測による薬効・毒性評価のための微細加工シリコーン培養チャンバー、及び計測センサを設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成31年度は、モデル細胞を用いて2D-3D連結構造体を作製することに成功するとともに、薬効・毒性の新規の評価系の開発に向けた細胞の力学的変化を計測し得る可能性を有するセンサの作製にも成功した。 令和元年度は、薬効・毒性評価のモデル細胞として、肝細胞、血管内皮細胞および骨格筋細胞を用いて2D-3D連結構造体や3D細胞組織体を作製し機能評価、および薬効・毒性試験を行うことを目的とした。 その結果、ヒト肝癌細胞と血管内皮細胞、または骨格筋細胞からなる3D組織体を作製することはできたが、作製条件の最適化に時間を要し、それらの組織体の薬効・毒性評価は年度内に実施することができなかった。 一方で、3D組織体の機能評価、および薬効・毒性評価のための微細加工シリコーン培養チャンバー、及び組織収縮力計測センサの設計は既に終えており、令和2年度には実施できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、ヒト肝癌細胞と血管内皮細胞、または骨格筋細胞からなる3D組織体の機能評価、および薬効・毒性評価を行う。 続いて、本研究の最終目的であるADMEの内、2つから3つの項目のマルチ評価が可能な複数種の細胞から成る2D-3D連結構造体の作製を試み、その構造体への薬剤暴露による毒性・薬効評価を細胞機能や組織構造に加えて、高分解能フィルム型応力センサを用いて組織に働く力の変化を計測することでも行い、創薬試験系としての応用可能性を示したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、分担研究者の施設での実験を延期することとしました。これに伴いまして、消耗品および旅費を翌年度に計上することとしました。
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Research Products
(14 results)