2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Cancer Vaccine Using Mesoporous Silica Nanoparticles
Project/Area Number |
18K12089
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (30279377)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メソポーラスシリカナノ粒子 / がんワクチン / ペプチド抗原 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メソポーラスシリカナノ粒子(Mesoporous Silica Nanoparticle、MSN)を抗原キャリアーとして用いる新しいがんワクチンの創出を目的としている。これまでに、鶏卵白アルブミン(OVA)をがん抗原のモデルとし、マウスのCD8+ T細胞を刺激するキラー抗原ペプチド、CD4+ T細胞を刺激するヘルパー抗原ペプチド、および抗原提示細胞(樹状細胞)のToll様受容体を刺激するCpGオリゴヌクレオチドを含むMSNワクチンが、がん移植マウスの生存日数を増大することを明らかにしている。本年度は、MSNワクチンを投与したマウスより脾臓細胞を回収し、蛍光染色したマウスリンパ腫細胞と共培養して細胞傷害活性試験を行った。MSNワクチン投与マウスの脾臓細胞は、コントロールマウスの脾臓細胞と比較して、OVA遺伝子を導入したリンパ腫細胞に対する細胞傷害活性が増大する傾向が観測された。遺伝子導入していないリンパ腫細胞に対する傷害活性に変化はなく、MSNワクチンにより誘導される細胞性免疫が抗原特異的であることが示唆された。一方、MSNワクチンの安全性について検討したところ、サンプル投与部位に小さな硬結様の反応が観察される個体があったものの、サンプル投与後の体重変化はコントロールマウスとほぼ同じであり、状態観察にも異常は認められなかった。また、MSNワクチンを投与した正常マウスより血液を採血し、血液検査、血液生化学検査を実施した。コントロールマウスの血液と比較して、血液検査における白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、また、血液生化学検査におけるブドウ糖、アルブミン、アルカリホスファターゼ活性、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性、総ビリルビンなどの測定値に大きな差はなく、MSNワクチンの安全性が示唆された。
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