2019 Fiscal Year Research-status Report
Accurate quantitative evaluation of bone construction by non-contact QUS using airborne ultrasound passed through a tissue
Project/Area Number |
18K12100
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 慎之介 東京工業大学, 工学院, 助教 (80550970)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 空中超音波 / 非接触計測 / 音波伝搬速度 / 減衰周波数特性 / QUS |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,送信・受信用振動子それぞれの両側に配置したレーザ距離計を用いて超音波の伝搬経路長および計測対象側面との相対角度を計測し,送受信した超音波の伝搬時間(TOF)や信号振幅から対象内の音波伝搬速度(SOS)と減衰周波数特性(BUA)を非接触で求めるシステムについて検討を行った.また,2本の対向する超音波プローブの間に対象を配置し,各素子間のTOFなどを用いて対象内のSOS分布を計測するシステムについても基礎的な検討を行った. SOS・BUAの非接触計測では,振動子・レーザ距離計の回転機構や計測シーケンスの改良を行い,接触計測との比較による非接触計測の評価を行った.SOSに関しては,ファントム内の温度変化などの誤差要因を取り除いた後,得られたSOSの平均値と標準偏差を用いて計測精度の評価を行った.BUAに関しては,減衰係数の異なる3種類のファントムを用いてそれぞれの透過波の周波数スペクトルを計測し,基準となるファントムとの平均差からBUAを推定する計測手法の評価を行った. SOS分布の計測に関しては,Verasonics社製Vantage256に128chリニアプローブを2台接続し,各種超音波ビームを双方向で送受信するシステムの設計を行った.平面波や収束波の送受信に加え,それぞれのプローブを走査しながら計測を行うための機構や得られたデータからFull Waveform Inversion法によってSOS分布を計算する手法について検討を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,QUSシステムの評価では寒天ファントムを用いて実験を行っていたが,測距用レーザがファントム内へ透過していたため,超音波の伝搬経路長が正確に計測できていなかった.そこで,レーザ光が透過しない生体模擬材質(WRTMM)ファントムを使用したところ,十分な精度で伝搬経路長を計測できるようになった.接触および非接触で計測したファントム内のSOSは,平均値ではどちらも公称値+2%以下,標準偏差ではそれぞれ±0.2%,±0.4%以内となり,QUS検査としては非接触計測においても十分な精度が得られた.しかしながら,透過波の周波数スペクトルを用いるBUA計測では,計測ごとのばらつきが大きく,周波数スペクトルの取得方法や評価方法を再度検討する必要がある. SOS分布計測システムでは,事前にプローブの位置,超音波の伝搬経路長などを校正する必要がある.本システムの校正では,水槽内の温度変化を基準とすることで十分な精度が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,非接触QUSシステムの3次元化およびSOS分布計測システムによる評価を行う.これまで使用していたQUSシステムは,1台の振動子と2台のレーザ距離計を1台の自動ステージで回転させる機構であり,2次元平面内でのみ計測を行っていた.踵のように複雑な形状のものを計測する場合,振動子と3台以上のレーザ距離計をともに回転・傾斜させる必要がある.そこで,3D プリンタを用いて作成した治具と2台の自動ステージによって,3次元空間内での計測を可能とするQUSシステムを構築する.そして,WRTMMファントムを用いた新たな3次元QUSシステムの性能評価,超音波の伝搬経路走査について検討を行う. 超音波プローブ2本を対向させたSOS分布計測システムでは,単純な平面波や収束波の送受信,それらのビーム方向を走査した場合など様々な方法でSOS分布を計測することができる.しかしながら,媒質中の固有音響インピーダンスの不均質性による超音波の反射・屈折・回折の影響で,どのような計測方法においても精度の低下やアーチファクトの発生が予想される.そこで,それぞれの送受信方法と計測精度への影響について総合的に評価するためのファントム実験,場合によってはFDTD法による数値シミュレーションなども行う.
|