2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12101
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中山 和也 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80242543)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光学CT / ゲル線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
主な装置の改良点、測定項目とその結果について示す。 1.ひずみ低減方法の検討とその効果 : 試料を水中に設置して測定することが検討されているが、この場合、画像がひずむことがある。一辺が30 cmの水槽を使用し、画像処理ライブラリであるOpen CVを用いて、このひずみの軽減を試みた。その結果、15 %あったひずみが5 %に軽減できた。次に小さな水槽(幅15 cm、奥行15 cm、高さ30 cm)を使用した場合のひずみ率を測定した。15 %あったひずみが3.5 %に軽減できた。これらの結果などにより、最適な大きさの水槽を使用し、試料やカメラの幾何学的な配置を最適化できれば、ひずみはさらに軽減できると考えている。 2.カメラ、水槽、試料及びカメラ固定具などの改善:これまで使用していたカメラはフォーカス調整などに問題があった。そこでSDK(software development kit)が提供されている産業用カメラに変更した。水槽のサイズを小型化し、光源、試料、カメラの幾何学的な位置を変更した。これらの結果より、解像度特性(MTF)の向上に成功した。 3.プログラム(撮影系、駆動系) : 白黒画像以外に、カラー画像、カラー画像の赤成分画像、緑成分画像、青成分画像を取得できるようにした。これらの画像より、測定に適した色成分が確認できるようになった。また、ノイズ低減効果が期待できる撮影方法も追加し、その効果を確認した。また駆動系のプログラムを改良して、測定時間を短縮させた。 4.再構成方法の変更 : 400枚の投影像からFeldkamp法を用いて(Plastimatch ver.1.6.4を使用)、断層像(3次元データ)を取得するように変更した。この結果、一度の処理でスライス1枚ではなく、3次元のデータ(複数のスライス)が取得できるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた試作機の準備と改良は概ね順調に進んでいる。水槽やカメラを変更し、それに伴いカメラなどの固定方法などを変更、調整した。その結果、解像度(MTF)が改善した。モータ軸も作り直したが、顕著な改善は見られなかった。その後の実験とデータ解析の結果、モータ軸と試料の固定方法に問題があることがわかった。そのため、試料の固定具を新たに検討(作製)することにした。固定具の作製は予算の関係で次年度以降に実施する予定である。モータ制御に関しては、プログラムを改良しハーフステップに対応できるようにした。光源、試料、カメラの位置関係が重要であるが、カメラの固定方法(調整方法)をさらに改良するための固定具(角度調整機構付き固定具)を開発中である。画像のひずみに関しては、水槽など主要な部品を変更したため、画像のひずみ率などを新たに測定した。その結果、画像処理技術(補正)を使用することなく、ひずみ率が軽減した。画像のひずみに関する対策については、その優先順位が低下したと判断し、次年度以降に検討することにした。 プログラムの改良により測定(撮影時間)時間が短縮できたことなど、一部の項目については、先行して進んでいる。ノイズを低減する新たな改良方法を思いつき、その一部の実証試験もおこなった。さらに簡易光スペクトル測定装置を作製し光源の特性などの測定が可能になった。 以上より、研究は順調に進んでおり、一部は予定以外の成果も得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載した項目を中心に研究を進めていく予定である。予定しているモータ軸と試料の固定方法の改良に関しては、改良案はあるが予算が限られているため、部品の購入、装置の改良に問題が生じる恐れがある。この点に関しては、時間がかかり精度が確保できないかもしれないが、材料を購入し、自前で固定具の一部を設計、加工(作製)をすることで解決する予定である。モータ制御に関しても予算の点から、マイクロステップに対応したモータドライバICを使用したモータ制御回路の設計、作製を検討している。安価で入手性の良い部品を使用する予定だが、発熱が心配される。必要に応じて冷却装置を追加する予定である。マイクロステップを用いると、より微細な角度刻みで撮影が可能となり、回転軸方向の高解像度化が期待できる。しかし、撮影枚数が増えるため、データ量が増加し、撮影や再構成に時間が必要になるなどの問題点もある。この点は注意深く検討する予定である。 現在、OS、制御用プログラム、撮影データはSDカードに保存される仕様だが、SDカードは書き換え回数に制約がある。そこで、制御用プログラムと撮影データは磁気ディスクに書き込むように変更する予定である。その準備過程で、使用しているボード型コンピュータでは、ある種のファイル形式でフォーマットされた磁気ディスクへの書き込みに不具合が発生することがわかった。これは、短時間に大量のファイルを保存する時に発生する。そのため、磁気ディスクのフォーマット形式の検討、カメラからの転送レートの検討などを実施し、この問題を解決する予定である。 また、作製した簡易光スペクトル測定装置を使用し、光源や試料の光の波長特性などを測定し、最適な波長などに関する検討をおこなう。
|
Causes of Carryover |
交付頂いた額は申請した予算案から減額された額だったため、一部の部品は、自前で設計、加工、作製するなどして経費の削減に努めた。それでも、予算の関係で一部の部品は購入できなかった。このため、11円の残予算が発生した。また、次年度も予定していた一部の物品の購入は困難である。この点に関しては、装置の設計の見直し、一部の部品を自前で加工、製造することで対応する予定である。
|