2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K12101
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中山 和也 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80242543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光学CT / ゲル線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
主な研究結果を以下に示す。 1.装置の改良 : アルミ材を削り出し試料固定具を作製し、試料の固定が容易になった。カメラ固定具も改良しX-R可変ステージとした。これらの改良により、撮影時の位置合わせ精度が向上し、位置合わせの操作性も向上した。モータ制御装置は、新たにマイクロステップ対応のモータドライバに交換した。これにより、1回転400ステップが、1回転最大51200ステップ相当まで可変できるようになった。ただし、撮影データ量の関係で、投影像はこれまで通り1回転あたり400ステップ(枚)を基本としている。使用したモータドライバは、回転中の加速や減速時の電圧などが制御できる。後述する測定では、長時間に大容量のデータが得られるため、冷却ファンを、電源回路、モータドライバ、カメラ、制御用ボードコンピュータにとりつけ、ボードコンピュータには外部記憶装置を追加した。 2.画質向上方法の検討 : これまでは、試料を、1回転を0.9度刻みで400枚撮影した投影像から断層像を得ていた。今年度は画質を向上させる目的で、1ステップ毎に複数枚撮影し、撮影した画像を加算平均してノイズが低減できないか、問題点がないか検討した。具体的には、1ステップあたりの撮影枚数を1枚から50枚まで変化させ、ノイズ低減効果を調べた。実際の試料は時間とともに色の濃さが変化するため、青入り食用色素を使用した。均一な試料の断層像を取得し、そのピクセル値の分散などから、ノイズ低減効果を推測した。その結果、加算枚数の増加とともに、ピクセル値の分散が減少することがわかったが、その効果は20枚程度からは小さくなった。しかし、加算枚数を増加させると測定(撮影)に時間が要する。1ステップあたり1枚の通常撮影では、90秒程度で測定が終了するが、1ステップあたり20枚撮影すると30分程度かかる計算となる。この点は今後も検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な点の進歩状況を以下に示す。 1.装置の改良:前述の通りの改良を行った。概ね予定通りである。試料固定具などの改良により操作性(調整)が容易となった。これは画質の向上にもつながる。投影像を撮影する場合、カメラと試料の位置が問題となり、これがずれると画質が劣化する(アーティファクトの原因)。調整が容易となったことで、この点が改善された。モータ制御方法の改善により、1回転400ステップが、最大51200ステップ相当まで可変できるようになった。しかし、このステップ数が増えると測定時間と得られるデータも増加する。これらの兼ね合いについては来年度以降も検討する予定である。カメラの変更も考えていたが、予算が削減されたこと、購入予定のカメラを変更したが、そのカメラが製造停止(廃番)となり、さらに代替機種の出荷が遅れたために、来年度以降に実施することにした(年度末の3月に納入済み)。その代わり来年度実施予定だった散乱光対策の一部を実施した。熱に強いスパッタフェルトで装置を囲み、迷光防止対策を試みている。定量評価は行っていないが、迷光防止の効果がある程度出ていると考えている。しかしながら、スパッタフェルトで装置を囲むため、カメラやモータの発熱対策を考える必要がある。特に交換予定のカメラは発熱があり、メーカが発表している資料を参考に対策を考えている。 2.画質向上方法の検討 : 当初の計画では今年度予定してなかったが、その重要性から前倒しで実施した。予備実験では、加算枚数を100枚としていた。この場合、1つの試料の測定時間が2時間程度であり、得られる投影像は4万枚(35GByte)となった。測定時間だけでなく、データの解析にも時間を要したが、おおむね予定した項目は実行することができた。しかしながら、画質改善の効果と測定時間などの兼ね合いについては、今後も検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載した項目を中心に研究を進めていく予定である。しかしながら、試料固定具やカメラの改良は引き続き行う予定である。特にカメラは納品が遅れたため、次年度以降に本格的に使用する予定である。本カメラを使用すると、性能の向上は期待できる。しかしながら、発熱に注意する必要があり、冷却効果の高いカメラ固定台を作製する予定である。また必要に応じて冷却ファンを追加する予定である。散乱光(迷光)に関する研究は、前述の通り一部前倒しで実施しており、ある程度の効果が確認された。装置を耐熱性のスパッタフェルトで覆うことで、周囲からの散乱光をある程度防ぐことができるようになった。しかしカメラなどの発熱対策の必要性もわかっており、その効果と問題点を引き続き調査する予定である。散乱光(迷光)は測定誤差(ノイズ)の原因であり、取り除く必要がある。しかしながらこれまでの研究で、散乱光の一部の成分が逆に利用できるかもしれないという感触を得るようになった。この点についても測定を行う予定である。 本研究では、光源にLCDモニターを使用しており、光源色が可変可能という特徴を有している。またカラーカメラを使用しているため、カラー画像から、赤成分、緑成分、青成分の画像を取り出すことができる。これらの特徴を有効に使用するため、色成分(波長)による違いについても調査する。先行して、ミニ分光器を購入し光スペクトルメータを作製している。自作した光スペクトルメータを使用すると、340から850 nmの範囲の光スペクトルが計測できる。測定の一部はすでに開始している。この光スペクトルメータを用いて測定に適した光源色、カメラの感度、画像の色成分などを引き続き調査する予定である。カメラは、今年度から新しくするため、撮影条件の洗い出しも含めて、調査する予定である。
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Causes of Carryover |
交付頂いた額は申請した予算案から減額された額だったため、一部の部品は、自前で設計、加工、作製するなどして経費の削減に努めた。また購入を予定した製品が製造停止(廃番)になり機種を変更したことにより次年度使用額が生じた。 次年度も、引き続き装置の改良方法(設計)を見直し、経費の削減に努め、繰り越した額を含めて必要となる電子部品、配線材料などの消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)