2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K12101
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中山 和也 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80242543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光学CT装置 / ゲル線量計 / 放射線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療において、放射線の照射された場所とその線量を3次元的に把握することは重要である。3次元的な放射線量の計測方法の一つにゲル線量計がある。この線量計に、放射線を照射すると、照射された場所の色が濃くなる(又は、白濁化する)。この色濃度の変化などを読み取る装置の一つに光学CT装置がある。光学CT装置の性能指標としては、画像の解像度(空間分解能)、画像のダイナミックレンジ(明るさの分解能)、測定時間などがある。今年度は、ダイナミックレンジを疑似的に改善する手法について研究をした。 試料の色や明るさの詳細な違いを読み取るには、ダイナミックレンジの広いカメラを使用する方法があるが、このようなカメラは高額である。そこで、複数の露光時間で撮影し、その後それらの画像から疑似的に高ダイナミックレンジ化した画像を作成する手法を2種類開発した。1つ目は、複数枚画像を撮影し、撮影した画像の加算平均画像を作成する方法である。2つ目は、複数の露光時間で撮影することで改善させる方法である。 結果:加算平均枚数を10枚とした場合ダイナミックレンジは約2倍、複数の露光時間(1 msから70 msの10通りでの撮影時)で撮影した場合は約70倍ダイナミックレンジが改善した。なお、画像データとしては、符号なし整数が多く用いられる。例えば8bit符号なし整数形式の場合、256階調である。本研究では、画像データを単精度浮動小数点形式で取り扱うこととし、より広いダイナミックレンジ画像を取り扱えるようにした。この点は本研究の特徴である。また、カラーカメラを用いることで、赤成分、青成分、緑成分画像を得られるようにもした、さらにこれらの色成分画像から、白黒画像も得られるようにした。実際のゲル線量計はその組成で色が異なるため、色ごとの画像が得られるようにした点も、本研究の特徴である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試作機の準備は完了した。散乱光に関しては、スパッタフェルトを暗幕として利用することで対応している。発熱の問題がカメラにあったため、耐熱性に優れたスパッタフェルトを使用し、対応している。散乱光に対する対策は、この散乱防止用の暗幕の設置と偏光フィルタの設置を試した。この結果、暗幕の効果は大きく、偏光フィルタの効果は小さいことが分かった。当初はデータ処理方法の改善を行う予定であったが、新しい画像改善方法を思いついたので、この新手法の検討と評価を今年度実施した。その結果、計測器としては当初の予定以上の性能が得られるめどが立った。この点大きな進歩である。一方で問題も発生した。単純な測定方法では、1試料の測定時間は1分弱である(0.9度刻みで400ステップ撮影時の値)。その時得られるデータは、無圧縮状態で500 Mbyte程度のサイズとなる。しかし新たに開発した画質改善方法を用いて測定を行うと、条件にもよるが、測定に40分程度で、無圧縮で35GByte程度データ量となる。画質改善方法の評価と検討を行うために余分な処理とファイルを保存したため、測定に時間がかかり、データ量も多くなっている。評価や検討用のファイルを保存しないようにすれば、測定時間の短縮とデータ量の削減は可能であるが、それでも処理方法などを改善して、さらに削減する必要があると考えている。この点に関しては、今後の課題である。 装置に関しては、一通りの測定、評価ができるよう、駆動系、カメラ系、など開発が概ね終わった。今年度は、例えば測定の高速化を目指すため、データ転送速度の速い対応のカメラに切り替えるなど改良を続けた。なおこのような改良を行うと新たな問題も生じる、例えば前述のカメラは発熱が大きいため、冷却用にアルミブロックを加工しカメラ台として使用し、さらに冷却用ファンの取り付けなどの対策をとった。
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Strategy for Future Research Activity |
試作機の準備は完了したが、引き続き改良を加える。より簡便に、より高精度に測定できるように、ゲージ付きベンチを試作機の台座に取り付ける予定である。これにより、より容易に試料位置の微調整が可能となる。さらにテレセントリックレンズの使用も検討している。テレセントリックレンズは画角が0であり、視差エラーを除去できる。この特徴より、外観検査、高低差や奥行きのある試料の検査に向いている。しかし、テレセントリックレンズは大きく設置や取り扱いが容易ではない。また、高価であるという欠点がある。そこで、一般的なレンズでの補正方法を検討し、テレセントリックレンズで得られるデータと比較検討を行う予定である。これまでは、大きな試料が測定できるように試作機を改良してきたが、逆に試作機の小型化も検討する。小さな試料のみの測定となるが、装置の設置や保管を考えると小型も検討すべき点だと考えている。本検討に対応できるよう光源としてスマートフォン用の液晶パネルを準備し、制御装置と一部のプログラムを開発中である。 現在問題としている点に、測定時間がある。通常の撮影は1分以内で可能であるが、高画質化処理をおこなうと、場合によっては40分ほど必要となる。またデータサイズも増え35 GByteを超えることがある。対策としてデータ転送速度の速いカメラを使用している。これに加え、撮影中や撮影後のデータ処理方法の改良、データの保存を改良し高速化を目指す。
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Causes of Carryover |
交付頂いた額は申請した予算案から減額された額だったため、一部の装置は、自前で設計し、現有設備で加工、作製するなどして経費の削減に努めた。また購入を予定した製品をより安価なものに変更したことにより次年度使用額が生じた。 次年度は物価高騰が予想されるため、引き続き装置の改良方法(設計)を見直し、経費の削減にも努め、繰り越した額を含めて必要となる電子部品、配線材料などの消耗品の購入に充てる。
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