2018 Fiscal Year Research-status Report
非加熱光加工によるがん組織任意形状光蒸散治療の創出
Project/Area Number |
18K12117
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
竹村 裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (60408713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非加熱焼灼 / 穿刺治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,穿刺の問題点を“針を目的の所に到達”させることと,“焼灼範囲制御”の2点に切り分け,後者の問題点に絞り解決するために,(A)所有の超短パルスレーザー光を集光して光ファイバーに導光することにより,超短パルスファイバーレーザーを構築し,(B)生体組織への光蒸散により非熱加工の実現性を明らかにする.さらに,(C)ファイバー先端レンズ一体成型技術を応用し,光ファイバー先端を加工し任意方向への集光を実現する.最後に,(D)医師の協力のもと動物実験により本手法の有用性を明らかにする.研究の初年度は,所有の超短パルスレーザー(波長:1060nm)を利用して超短パルスファイバーレーザーの開発に重点を置き,主に(A),(C)について取り組むと共に,項目(B)(D)の一部についても研究を実施した. (A)空間出しレーザーを光ファイバーに導光するための光学系の設計を行い,ファイバーへの導光を実現した. (B)生体組織への光蒸散により非熱加工の実現性の検証を行った.所有の装置と借用したレーザーの両方を用い,幅広いレンジにパラメータを振り,光蒸散による生体組織への影響を調査した.サーモグラフィにより蒸散部周辺に熱的影響がないことを確認した.さらに,蒸散部位の病理切片を作成し,顕微鏡観察により蒸散部位周辺に熱的影響がないことを確認した. (C)照射方向を規定するファイバーレンズの設計・開発を行った.しかし,レーザーの出力が高いため,レンズの焼き付きの問題が発生し,問題解決に取り組んでいる.当面は,硬性鏡を利用することによりこの問題を解決するが,ファイバー先端のレンズに関して引き続き研究開発を行う. (D) 動物組織を用いた焼灼実験を実施するための実験方法や条件の洗い出しを行った.装置の検証でき次第,小動物を用いた肝臓の焼灼実験を行えるように準備した.次年度以降に順次実験を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目以降に実施する予定の生体組織への影響の確認が初年度に実施することができた.しかし,ファイバー先端のレンズ加工には問題が生じ,問題解決に取り組んでいる.よって,当初の計画以上に進んでいる項目もあるが,“概ね順調に進展している”とした.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において光を利用して生体組織への非熱加工が実現できることを実証したので二年目以降の研究の方策は,適宜ハードウェアの改良を行いつつ,主に生体への影響検証に重点を置き,小動物実験が実施できるように準備を行う. 初年度では,空間出しレーザーを光ファイバーに導光するための光学系の設計を行い,ファイバーへの導光を実現することができたが,ファイバー先端のレンズの実用化には至っていない.二年目以降では,構築した超短パルスファイバーレーザーで小動物を用いた焼灼実験が実現できるように,高出力に耐えうるファイバー先端のレンズの設計開発を実施する.同時に,硬性鏡を利用した実験を実施することにより,小動物実験を実施できる体制を作る. 実験装置ができ次第,小動物での実験を開始する.実際に焼灼を行うことで焼灼範囲の検証,熱変性範囲の検証を組織学的に行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,超短パルスレーザーを無料で借用することにより,試作が減り,ファイバーレーザー集光用光学設計・加工費が大幅に削減できたためである.翌年度分として請求した助成金は,初年度問題が発生したファイバー先端のレンズ設計・開発に利用する.
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