2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of electroretinogram deforming the multifocal hexagonal stimulus array to identify the retinal layer causing the decline in visual sensitivity
Project/Area Number |
18K12122
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 尚人 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (50551066)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜電図 / マイクロペリメトリー / 視感度低下 / 網膜層の特定 / 重畳式ERG |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は2019年4月から2020年3月まで,米国スタンフォード大学医科大学院に1年間留学し,客員研究員として主に網膜電図(ERG)の開発を行っていた.使用した実験機材の内,備品(ノートパソコン2台,32インチディスプレイ,マルチファンクションI/Oデバイス,ファンクションジェネレータ,小型オシロスコープ等)のみをスタンフォード大学から日本の勤務先である沼津高専まで輸送した.完全な装置の動作確認を実施したが,電気計測装置を新しく作製する必要があった. スタンフォード大学医科大学院眼科学専攻において,背景配列上に7個の刺激配列を重ね合わせた重畳式ERGは眼底上の特定の点において視感度低下を起こした網膜層の病変部を判別する可能性を示したため,臨床前の動物実験や病院での臨床評価を行うのに十分な価値があると評価されている. 研究代表者とDr.Myung(スタンフォード大学)はコロナウィルス大流行により,2021年5月に米国でオンライン開催された国際会議ARVO 2020において,一部制限された状態であったが,簡易版のポスターとして,その研究内容を発表することが出来た. 2020年度は以下を実施した.(1)アメリカから輸送した装置の動作確認,(2)電気計測装置の作製,(3)ERGの背景に使用する規則正しい配列の検討,(4)背景と刺激配列の2重構造を持つ重畳式ERGソフトウェアの改良,(5)実験装置に使用するモニターは輝度が250cd/m2であり,視野計としては輝度が低いため,高輝度モニターの検討 ただし,コロナウィルスの影響により,研究代表者は勤務先においてオンライン授業と対面授業の両立を図る必要があり,学生寮運営等の校務で大変時間を取られてしまい,研究時間を確保することが大変難しくなってしまった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)アメリカから輸送した装置の動作確認:日本で購入した備品(ノートパソコン2台,32インチディスプレイ,マルチファンクションI/Oデバイス,ファンクションジェネレータ,小型オシロスコープ等)をスタンフォード大学でERG開発に使用し,日本に帰国する際に,アメリカから輸送し,動作確認を実施し,特に問題なく動作することを確認した. (2)電気計測装置の作製:増幅回路,ノッチフィルター回路等を作製した.これらの回路とマルチファンクションI/Oデバイス,皿電極,耳クリップを接続し,ERG波形の計測試験を行った.また,シールドシートを用いたノイズ除去を確認した. (3)ERGの背景に使用する規則正しい配列の検討:背景と刺激配列の周辺部は不規則な配列となってしまうため,規則正しい配列の方法論を検討している. (4)背景と刺激配列の2重構造を持つ重畳式ERGソフトウェアの改良:スタンフォード大学で開発したソフトウェアの改良を行っている. (5)高輝度モニターの検討:我々が開発した実験装置は重畳式ERG,マイクロペリメトリー,眼底カメラの3種類の機能を持つ.重畳式ERGとマイクロペリメトリーの画像を表示させるために8インチモニターを用いている.このモニターは輝度が250cd/m2であり,視野計として考えると輝度が低い.世界的に普及されているハンフリー視野計の輝度は10,000asb であり,約3,200cd/m2である.高輝度液晶モニターは1,600~2,000cd/m2のものが市販されているので,これらの液晶モニターを今後使用する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は2019年度に米国スタンフォード大学医科大学院に1年間留学し,スタンフォード大学の研究者と共に意見交換しながら,ERG開発を進めることが出来た.その際のアドバイスとして,背景配列と刺激配列の間の領域は不規則な配列を使用せず,規則正しい配列を使用する必要性があるとされた. 2021度の研究は眼科実験装置を重畳式ERGから新しいERGに変更できるようにし,かつ視野検査の仕様に近づけるために高輝度のモニターを使用した改良を行う. 最後に,2022年度の研究は被験者に対し,新しいERGと視感度を計測する.各検査点における網膜視感度はハンフリー視野計と同程度であること,ERG波形のデータはa波,b波,c波,PhNR,律動様小波等を確認し,健常者のデータとして整合性が取れていることを評価する.本研究の実験系が健常者でデータ取得出来ることを確認した後,網膜色素変性,緑内障,黄斑ジストロフィ,AZOOR,MEWDS等の患者に対し,マイクロペリメトリーとERGを計測する.そして,取得したデータとその病気特有の波形データを照合する.その波形より網膜の原因層を調査し,視感度低下の原因となる網膜層を特定する方法を評価する.
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Causes of Carryover |
2020年度は留学先の米国から帰国し,スタンフォード大学から輸送した装置類の動作確認を実施した.さらに電気計測装置の作製を行った.また,米国で開発した重畳式ERGソフトウェアの改良を行っていた.また,背景の規則正しい配列にする方法論の検討を併せて行っていた. また,コロナウィルスの影響で,研究代表者は勤務先においてオンライン授業と対面授業の両立を図る必要があり,学生寮運営の公務等に大変時間を取られてしまった. 最後に,2020年度に実施した作業は新しい物品を購入する必要があまりなかった.ただし,2021年度以降に実施する高輝度ディスプレイ使用による実験装置の改良や被験者の人眼計測等に大切な研究費を使用できることとした.
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Remarks |
Naoto Suzuki, David Myung, Design and development of a novel electroretinogram-microperimetry system with superimposed multifocal arrays, investigative ophthalmology & visual science, Vol. 61, Issue 7
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