2018 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波精密照射による細胞死制御と可視化-癌セラノスティックス開発を目指して
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18K12123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 麻実子 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (20582133)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ波加熱 / 空洞共振器 / 癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マイクロ波エネルギーを精密制御でき、電場・磁場成分を分離して照射可能な空洞共振器の開発を行った。発振器には、2.45GHz半導体発振器(AMIL-HMW50-01S1, 照射電力0-50 W, 株式会社アミル)を用いた。加熱共振器は、WRJ2-N型同軸導波管変換器に接続されたWRJ-2型導波管を使用し、終端はムービングショートにより導波管長さを調節可能とした。導波管上部にはペルチェを設置し、導波管内の温度調節ができる。また、導波管はテフロン(polytetrafluoroethylene, PTFE)で覆われ、保温機能を有する。その中央部にサンプル設置場所があり、その中心部にある放射温度計にてサンプル温度を測定可能である。また、ペルチェに接続された温度調節器により、放射温度計の目的温度に合わせてペルチェの温冷を制御できる。更に、入射波及び反射波の印加出力は、デジタルマルチメーターを、温度はデータロガーを用いてモニター可能とした。 上記装置において、共振周波数が2.45GHzにて最大になる導波管長の設定を行った。具体的には、ネットワークアナライザー(N5242A, アジレント・テクノロジー株式会社)を用いてSパラメータ(S11)の測定を行った。サンプルとして、2.5 mLの超純水及び培地と同様の誘電特性を有するRPMI 1640を35 mmシャーレ内に入れ、S11測定により共振周波数が2.45GHzとなるよう共振器の長さを調整した。その結果、共振器の長さが262.0 mmのとき共振周波数が2.45GHzとなった。 本装置は、産業技術総合研究所との共同研究として、株式会社アリオス、株式会社アミル及び株式会社クマガイRFアプリケーションズの協力の下、製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定通り、空洞共振器の設計を完成することができた。今後は、本装置を用いて培養癌細胞の細胞死メカニズムを解析するとともに、DDS医薬品とマイクロ波照射との併用効果を調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、DDS医薬品の合成を行う。本医薬品により、マイクロ波の死滅効果を癌細胞特異的に与えることができる。更に、本年度設計した空洞共振器を用いて、マイクロ波の電場及び磁場成分の影響が癌細胞単独、及びDDS医薬品が局在した癌細胞にどのような影響を与えるのか解析する。
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Causes of Carryover |
空洞共振器の製作過程において、部品代等が予定より少なく済んだため余剰経費が生じた。余剰分は、次年度のDDS医薬品合成や細胞死解析のための費用として計上する予定である。
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Research Products
(2 results)