2020 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波精密照射による細胞死制御と可視化-癌セラノスティックス開発を目指して
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18K12123
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
浅野 麻実子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (20582133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田 亮子 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (90321463)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / DDS / マイクロ波癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、マイクロ波癌治療を癌細胞選択的に行うためのドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System: DDS)を用いたナノ粒子医薬品の開発を行っており、昨年度ではHER2のモノクローナル抗体を結合したリポソームを作成した。今年度は、リポソーム内にナノ粒子を含有させるための条件検討を行った。磁性ナノ粒子は、生体成分と比較してマイクロ波の吸収能が非常に高いことが知られている。そのため、乳癌細胞のHER2に結合したリポソーム内に磁性ナノ粒子を予め包埋し、そこにマイクロ波を照射することで、乳癌細胞選択的にマイクロ波の細胞死滅効果を与えることができる。用いる磁性ナノ粒子は、直径10nm程度の鉄ナノ粒子を想定しているが、今回は第一段階として、比較的包埋が容易な銀ナノ粒子を用いて予備検討を行った。まず初めに、直径10 nmの銀ナノ粒子をメルカプトカルボン酸で被膜し、水溶化した。次に、この水溶化銀ナノ粒子をPOホスファチジルコリン(1-Palmitoyl-2-oleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine, POPC)と反応させ、銀ナノ粒子を内包したリポソームを作成した。その後、ゲル濾過により不純物を取り除き、銀ナノ粒子のリポソームへの内包をクライオ電子顕微鏡法により確認した。その結果、銀ナノ粒子はリポソームの中心には包埋されず、脂質膜のマルチラメラ層に挟まれて存在することが確認された。今後は本プロトコルを参考に、鉄ナノ粒子のリポソーム内への内包について検討を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により研究遂行が困難な状況となった。
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