2019 Fiscal Year Research-status Report
粒子線治療リアルタイムビームモニタ手法における定量的減弱補正手法の実証
Project/Area Number |
18K12124
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 充孝 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員(定常) (10375404)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 粒子線がん治療 / ビームイメージング / 制動輻射 / 減弱補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次電子制動輻射計測によるがん治療用粒子線ビームイメージング手法において減弱補正を実現可能にするために、エネルギースペクトルの計測が可能なX線カメラの製作を行った。画像検出素子としてガドリウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット(GAGG)結晶によるシンチレーションアレイ(結晶サイズ1 mm×1 mm×1 mm、アレイサイズ22×44)を採用し、これを浜松ホトニクス製のSiPMアレイ(8×16)にオプティカルコンパウンドを用いて接着した上で信号読出回路に接続して検出器系を構成した。この検出器系を、前面に銀合金製のコリメータを持つ鉛製の放射線遮蔽箱の中に設置することでX線カメラを構成した。コリメータの形状は、粒子線イメージングに実績のあるピンホール型を採用した。 次に、製作したX線カメラによって得られる生データをビーム画像に変換するためのソフトウェアを作成した、具体的には、ポジションマップの生成、結晶毎のイベント分割、エネルギー較正を行うためのプログラムを作成した。生データには2台ある読出回路のうち片方のデータが欠損しているデータがまれに含まれることがわかり、これを検出・排除するプログラムを作成した。 完成したX線カメラについて、Am-241点線源による性能評価を行った結果、ピンホールから距離20 cmの位置において視野4 cm×8 cm 、空間分解能約2 mm、エネルギー分解能 17%(59.5 keV における半値全幅)が達成できることを確認できた。 現在、本装置を用いて、重粒子線イメージング実験を行う準備を進めている。また、重粒子線照射環境下で本装置が正常に動作しない事も想定し、エネルギースペクトルの取得のみ可能な単素子の検出器(CZT検出器)の選定も進めている。次年度以降にイメージング実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線カメラの製作が完了し、想定している性能が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
製作したX線カメラを用いて、治療ビームイメージング実験を行い、減弱補正手法の適用可能性を実験によって評価する。
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Causes of Carryover |
X線カメラの製作および性能評価の実施が若干遅れたため、粒子線イメージング実験を次年度行う予定。これに必要となる部材(X線カメラの遮蔽補強、測定専用パソコン、照射ターゲット)を次年度に購入する予定。
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