2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Pharmaceutical Characteristics of Iodinated Contrast Media and Evaluation of Enhanced X-ray Images
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18K12129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 國治 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20335053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 啓輔 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (40469937)
池田 充 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (50184437) [Withdrawn]
川浦 稚代 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (60324422)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鳥かご状水クラスタ / マスキング効果 / 疎水結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、脳血管DSA検査を対象に、被ばく線量増幅効果を含む造影剤の副作用、造影剤の効能である造影能、DSA画像の画質について詳細な検討を行うことである。そこで最終年度は、一昨年度から引き続き継続しているヨード造影剤の副作用発症軽減機構について量子化学的検討を実施した。 昨年度は、造影剤一分子と水分子との相互作用について検討し、複数の水クラスタが造影剤分子を取り囲む分子配置、つまり「鳥かご状」の水クラスタを形成することによって、造影剤分子の疎水基であるヨード原子をマスキングすることを量子化学的に明らかにした。この現象は「親水性側鎖がヨード原子を直接マスキングする」と言う従来の仮説を覆すものであり、それに代わる新たな仮説として「水クラスタマスキング効果」を提唱した。しかし、水溶媒中の造影剤分子は、水分子だけでなく、造影剤分子間でも相互作用を起こすと考えられる。これに関連して、以前に実施した造影剤の浸透圧及び粘性の検討では、造影剤分子間の相互作用が密接に関連していたことから、この要因も考慮する必要があると考えられる。そこで、造影剤二分子を対象に、一方の造影剤分子を複数の水分子で半球状に取り囲んだ上で、これまでの解析と同様、量子化学的手法による検討を実施した。多くの場合、水クラスタは造影剤分子間で形成し、造影剤分子内のヨード原子をマスキングする配置となったが、特筆すべき事象として、親水性側鎖が水分子と水素結合ネットワークを形成し、これを起点に造影剤二分子が疎水結合することが明らかとなった。この結果は、造影剤分子が疎水結合することによって、ヨード原子やトリヨードベンゼン環をマスキングすることを示しており、特に、比較的親水性の低い造影剤で、この現象は確認された。以上のことから、造影剤分子間の疎水結合も、ヨード原子のマスキング効果において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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