2023 Fiscal Year Annual Research Report
Assessment of Cardiomyocyte Contractility in Chronic Hemodialysis Treatment and Development of Strategies to Prevent Cardiac Arrest
Project/Area Number |
18K12131
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 浩幸 九州大学, 農学研究院, 助教 (80346840)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋細胞拍動能 / 医療技術評価 / 拍動リズム / 収縮力 / 血液透析療法 / AI / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性血液透析患者群の3割強が治療中の突然の心停止を経験しており、透析治療中の心負荷を軽減する『心機能にやさしい透析治療システム』の開発が全世界で求められている。本研究では、電気生理学に基づく数理解析技術を用いて、現行の慢性血液透析治療が心筋細胞におよぼす負荷レベルを定量的に評価し、治療中の心筋細胞内カルシウムイオン循環動態を保全する方策を構築することを目指した。 2023年度は、これまでの研究成果をまとめることを目的に、治療中の心筋細胞拍動能の低下を予想する人工知能(判別器)を開発した。具体的には、血漿のナトリウム、カルシウム、カリウムなどの電解質濃度を説明変数、心筋細胞の収縮力低下の有無を目的変数とする1100件のデータセットを作成し、まず、このうち1000件を訓練データとして、ディープニューラルネットワークの教師あり学習を行った。そして、残り100件を検証データとして、学習済みディープニューラルネットワークの性能を評価したところ、正答率が98%となり、心筋細胞拍動能を評価する極めて高性能な判別器を構築することができた。この判別器は、数理解析で課題となっていた「解析に要する時間」を大幅に削減し、リアルタイムでの心筋細胞拍動能の評価を実現する可能性を有し、治療中の心筋細胞内カルシウムイオン循環動態を保全する方策に活用できると考えられた。また、今年度は、最終年度として、研究成果の公開に努め、透析治療中の心筋細胞拍動能の変動に関する講演を10件、分担著書1件、論文4編を発表した。さらに、第3回日本腎・血液浄化AI学会の大会長を務め、本学術領域の発展に力を注いだ。
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