2018 Fiscal Year Research-status Report
Systematic physiological evaluation of aromatherapy for optimized, personalized application.
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18K12157
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清水 慶久 九州保健福祉大学, 生命医科学部, 教授 (80403674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 清志 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授(特命) (10144495)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アロマセラピー / 自律神経系分析 / 局所混合血酸素飽和度 ( rSO2 ) / 認知症予防 / 局所混合血酸素飽和度 ( rSO2 ) |
Outline of Annual Research Achievements |
アロマセラピーは、芳香療法とも呼ばれ、一般的には、精油の芳香(エッセンシャルオイル)または植物に由来する芳香を用いて、病気や外傷の治療、病気の予防、心身のリラクゼーション、ストレスの解消など広く利用されている。また、認知症に対しては、脳リハビリテーション効果や予防効果があり、問題行動や心の問題の軽減させるという報告が多数ある。しかし、ほとんどの報告内容は、客観的エビデンスと再現性を欠いている。 本研究では、この問題を解決するために、(1)アロマの種類とその投与量の定量化・最適化を行う。(2)アロマ効果の個体差とその要因について十分検討を行う。(3)アロマ刺激に対する生体反応を定量的に計測し、その効果の客観的な評価を行うことによって、これらの課題を解決することを目指している。 本年度は、まずアロマセラピーの効果を検証すべく、(1)については、最近開発されたマルチ・アロマシューターを用いて、アロマの噴射量と距離を制御して検討を行った。また、(2)については、個人の嗅覚特性分析用のアンケートを作成し、試験的に評価を実施した。(3)については、自律神経系分析(HF, LF/HF)、脳前頭部酸素飽和度(rSO2:Regional Saturation of Oxygen)などを中心に、多様な生理学的パラメータを計測した。 その結果、①「生活習慣調査票」の解析結果との関連性は認められなかったが、「香りアンケート」では、柑橘系に対して嫌いな香りで選択している被験者はおらず、半数以上の被験者が好印象を有していた。②ペパーミントは香草類に分類され、様々な文献で交感神経優位とされているが、今回の結果では副交感神経で有意差が見られた。③グレープフルーツでは、男性と女性では相対的な反応が存在することが明らかになるなどの知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アロマセラピーは、嗅覚を通じて心地良い香り信号を大脳辺緑系から視床下部に伝え、自律神経バランスを整える植物芳香療法で、ホスピス・緩和ケア領域や高齢者の認知症予防で応用されている。しかし従来、アロマの嗅覚反応は感覚的にとらえられ、その有効性に関する科学的根拠が不明確で、実施法も最適化されているとは言えない。 本研究では、アロマに対する嗅覚反応を、「客観性」と「再現性」のある形で捉えることが重要であり、初年度は指向性芳香装置(ASM1BA0042)を用いることにより、局所領域へのアロマの噴射時間の設定を行った。その結果、噴射距離300 mm(30 cm),噴射時間1000 ms(1.0 sec)が適していると考えられ、研究実施における基本条件とすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた生理学的分析データをもとに、高齢者でも負担とならないようなアロマの投与条件(空間濃度)を明らかにするとともに、快適な気分をもたらし自律神経系をより効果的に刺激する(副交感神経に作用するアロマと交感神経に作用するアロマ)条件の組み合わせを探索する。 現在進行中の研究計画・実施状況について、基礎実験として実施した前頭部局所ヘモグロビン酸素飽和度(rSO2),交感神経・副交感神経の周波数解析(HF, LF/HF),嗅覚刺激に対する反応を見るための「日常のにおいアンケート」についての解析結果から、アロマセラピーに対する一定の研究成果が得られた。 しかし、今後の研究の発展性を考え、交感神経・副交感神経への影響を与える要素について、新たに定量化可能な指標となる刺激要素を考案中である。現行進行中の研究で試行錯誤しながらの実施となるが、主なものとしては、①温度刺激,②味覚刺激,③視覚・聴覚刺激などを候補として加え、自律神経系の変動要因の解析を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
残額が少額のため、次年度に繰り越し、物品費として使用することとした。
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