Study of Ultrasonic Speaker Technology for Visually Impaired People Acquiring Echolocation-Technique

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K12166
• Research Institution: Kure National College of Technology
• Principal Investigator: 横沼 実雄 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 准教授 (00280446)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 超音波スピーカ / 視覚障碍者支援 / エコーロケーション / 材質判定 / ＡＭ変調超音波 / 変調波 / 搬送波

Outline of Annual Research Achievements

昨年度の学会発表時において，超音波スピーカより出力するＡＭ変調超音波を試験用各種板材に照射し，板材による差異の顕著な可聴音周波数成分を見つけ，その周波数成分の強度比を上げた波形によりＡＭ変調を行うことで，ＦＦＴ解析から板材による差異を明確化できること，これにより視覚障碍者の聞き分け（エコーロケーション）による材質判定の可能性について言及した。継続研究として，板材による差異の顕著な周波数成分のみを強調して基本波成分に加えた変調波形について試験し，反射音の違いがより明確となることを確認した。現在，より広い周波数範囲で差異が顕著な周波数成分を加えて，より材質判定が容易となる変調波形を作成するべく，外部に計測依頼した音響特性解析を基に検討中である。これらと並行して，変調波を一定周期で並んだインパルス波形として，上記と同様に板材によるＦＦＴ解析結果の違いについて検討した。前述の強調波形より広い周波数帯で，材質による違いが見られたことから，今後も並行して検討していく。
一方，ＰＷＭインバータによる超音波スピーカ駆動アンプの実現について，ＦＰＧＡによるゲートパルス発生回路を実現し，試作アンプを作製した。超音波の変調波形として正弦波および方形波でＰＷＭインバータ動作を確認，ロスや発熱等を抑制したスピーカ駆動を確認した。スピーカ駆動電圧を上げた際に問題となる超音波スピーカの無効電力低減についてさらに検討が必要である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

選択した板材において，ＦＦＴ解析レベルでは差異が見られるものの，反響音から材質判定するレベルまで改善できていない。外部に依頼した音響特性試験から当初の想定に比べて可聴音低周波域での音響特性に違いが見られず，今後はより高域成分での違いについて検討する必要がある。また，これまで鉄材，木材，発泡スチレン材（スタイロ材）の3種で進めているが，現実に視覚障碍者が対面する対象の内より音響特性の差異が大きくなると予想される材質を加える必要がある。連続インパルス波形については端緒についた所であり，上記の問題を改善しうるか平行して試験していく。
ＰＷＭインバータによる超音波スピーカ駆動は，ＡＭ変調用搬送波40kHzの少なくとも数倍の周波数でインバータ動作するため，超音波スピーカ部分の無効電力が大きいと考えられ，現在はＬＰＦを通した上で駆動試験をしている。駆動効率を改善するためにはＬＰＦを除いた駆動方式にする必要がある。

Strategy for Future Research Activity

音響特性を基に，より高域の周波数成分を加えてＡＭ変調波を作成すること，また現在試験に用いている板材に加えて，着衣した人物を想定した布材を貼り付けた板材についても検討することにより，視覚障碍者の聞き分けが可能な差異を作り出す。また並行して連続インパルス波形によるＡＭ変調波でも試験を進める。この場合，インパルス幅を狭くすることで，周波数成分が広帯域化することが実験的に判明しているので，この結果を応用していく。
ＰＷＭインバータ型駆動回路については，高電圧化と共に高効率化するため，超音波スピーカのスイッチング周波数約300kHz付近でのインピーダンス解析を行い，現在搬送波周波数で使用している等価回路を改善し，問題点の解決とＬＰＦレスのスピーカ駆動を目指す。同時に連続インパルス波形によるＡＭ変調波に向けた駆動回路も併せて検討していく。

Causes of Carryover

当初予定では，日本応用物理学会春季学術講演会に参加予定で，旅費に充てる予定であったが，コロナウィルスの流行により学術講演会は中止となり旅費使用の案件が消えたため。秋季学会への参加旅費として使用する予定。