2019 Fiscal Year Research-status Report
1つの触覚刺激による体表点字の実現と生活応用システムの構築
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18K12175
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
大墳 聡 群馬工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (50223863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 福祉 / 触覚 / 皮膚刺激 / 体表点字 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚と聴覚に障害のある盲ろう者を主な対象とした情報伝達システムである体表点字の研究を行っている。これまでの研究では以下の2つの観点から検討を行っている:(1) 体表点字の読み取り特性の向上 (2)体表点字を用いた生活応用システムの提案 今年度(2019)は初めに、昨年度の課題となっていた個人に適した振動パターンを見出すことを検討した。Test3(左:150Hz, 右:40Hz, 両方150 ←→ 40 Hz, なし:150Hz(30ms))と Test6(左:150 → 40 Hz, 右:40 → 150Hz, 両方150 ←→ 40 Hz, なし:150Hz(30ms))について、6人の被験者に対して、振動駆動時間Tmを変更して正答率を求めてみた。Tmを長くすれば正答率は向上するが、正答率90%以上となるTmは人それぞれであり、正答率の高い方がTest3とTest6で異なるのも人それぞれであった。正答率90%以上でなるなるべく短いTmを評価基準にすると、Test3とTest6で3人ずつにクラス化できた。従来の評価基準(正答率の平均値)では埋もれてしまう個人に適した振動パターンが見い出せた。 今年度は、タブレットによる1点式体表点字のための装置化も行った。Android端末およびiOS端末の両方での動作を目指し、開発に Xamarin を用いることにより、共通部分は同時開発とした。Android端末において固有部分をプログラミングして体表点字を表現するための振動パターン(正弦波・変調・交互)を設定できるアプリケーションプログラムが完成した。体表点字を構成する4つのパターンの選択、それぞれのパターンの周波数・駆動時間などを端末画面から選択・設定し、カナ・数字・アルファベットに対して、それに対応する体表点字をAndroid端末から発生できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の後半で今後の課題としていた個人に適した振動パターンを見い出す方法が定まった。そして、年度当初の予定通り一点式体表点字装置として、市販の機器(タブレット)での体表点字装置の開発を行った。開発環境として、Xamarin を用いることにより、AndroidとiOSでの共通部分は一括してプログラミングできた。先にAndriod端末を体表点字装置とすることはできたが、iOS端末での装置化は手つかずに終わった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究ではAndroid端末を1点式体表点字装置にできたが、iOS端末では実現できなかった。来年度はiOS端末での実現を目指す。これまでの1点式体表点字の読み取りシステムはWindows PCのみであったが、Android端末やiOS端末も1点式体表点字読み取りシステムになりえる。タブレットでの体表点字読み取りシステムを構築し、障害者を被験者とした体表点字読み取り実験を行う。 科研費申請時の研究計画調書では、3年目に生活応用システムを構築することになっている。今年度タブレットを体表点字装置として使えるようになったので、タブレットに付随するインターネット接続・カメラ機能・音声入力機能・加速度センサー機能などが利用できるようになった。従来の盲ろう電話システムではDTMF(携帯電話のボタンに対応したピッポッパの音出力)の制約から3Gでのテレビ電話回線を用いなくてはならず通信費用も高額となった。本研究ではタブレットのインターネット回線を使うことで通信費用を抑えられる。また、インターネット接続なので複数人でも利用も容易になり、会議システムも構築できそうである。遠隔からの情報伝達システムは、携帯電話のテレビ電話機能を使い盲ろう者の手元を写し、遠隔からサポーターが動画を確認して体表点字で伝えるというものであった。スマートフォンのカメラによる文字認識機能を用いれば、盲ろう者が写した手元のものを文字認識して体表点字で伝えることによりサポーターを必要としない自己情報受け取りシステムが構築できる。 生活応用システムの開発の順番としては、初めに自己情報受け取りシステムの構築を行う。次に電話システムそして会議システムと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度の予定ではタブレットの1点式体表点字装置化を行い、体表点字装置としての読み取り特性について障害者を対象に測定するための費用も考えていたが測定に至らなかった。1点式体表点字読み取りシステムをタブレット上に構築し、障害者を対象に読み取り特性の測定を行うための経費に次年度使用額を充てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)