2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of models of data from the perspectives of theories of scientific representation
Project/Area Number |
18K12178
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
大西 勇喜謙 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 講師 (50793155)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学的表象 / データ同化 / 深層学習 / 科学的実在論論争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの当初の計画は、1)表象理論を用いたデータのモデル分析、2)データ同化技術に関する分析、3)これらと実在論論争との関わりに関する分析からなっていた。このうち、3)については、近年の深層学習の発展を鑑み、その実在論論争への含意を分析するよう方向修正している。 本年度は最終年度ということもあり、もっとも研究が進んでいる課題(3)の研究成果のとりまとめに注力した。深層学習技術と科学の目的論争についての分析は、昨年度までに、人間の認識能力の拡張可能性に関する論考も加え、投稿していたが、残念ながら不採択となっていた。本年度は、査読コメントをもとに、追加分の分析を除外してスリム化つつ、最新の先行研究もふまえて、科学の目的論争に関する論考を大幅に改訂し、現在再投稿中である。具体的な作業としては、科学の目的に関する諸説として、近年研究が進んでいる科学的理解に関する説も加えたほか、深層学習モデルの解釈手法に関する科学哲学的研究をさらい、両者の関係についての論考を加えた。課題1)と2)については、関連する先行研究の調査にとどまった。 プロジェクト全体としては、研究を初めてみて明らかになった難点やコロナ禍に伴う業務の負担増など、必ずしも当初思い描いていたシナリオ通りには進まなかった面もあるものの、深層学習技術という、データからの(人には容易に理解不能な)表象の自動生成技術に新たに着目することで、非常に時宜を得た、実り多い分析ができた面もある。現在投稿中の論文では、深層学習技術が科学の目的論争に持つ含意について、近年の科学的理解に関する諸説や、様々な解釈手法の性質を加味しつつ分析を行い、科学の目的論争が今後注目すべき論点や深層学習技術を用いた研究実践について、示唆を行った。また、データ同化についても、シンポジウムなどを通して、今後哲学的分析を要する研究実践についても知ることができた。
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