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2019 Fiscal Year Research-status Report

The Concept of "Filial Piety" in Confucianism and the Reconstruction of End-of-Life Ethics: On the Comparison of Japan and Taiwan

Research Project

Project/Area Number 18K12195
Research InstitutionOtani University

Principal Investigator

鍾 宜錚  大谷大学, 文学部, 研究員 (10793672)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords終末期 / 延命治療 / ACP / 台湾 / 親孝行 / 意思決定 / 家族 / 善終
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、終末期医療における「孝」(日本の場合は「親孝行」)の表現に注目し、延命治療をめぐる意思決定と家族の葛藤を分析することで、患者の「最善 な利益」や「自律の尊重」など従来の倫理原則とは異なる、「孝」の観点から捉える終末期医療のあり方と家族との関係性に基づいた倫理原則の提示を目的とす る。日本と台湾を中心に、それぞれの社会における「孝」の概念と医療決定に際する「孝」の役割を考察し、「孝」の文化がいかに終末期医療方針に影響を与え てきたのかを検討する。
2019年度では、同年1月に施行開始した台湾の「患者自主権利法」について、同法で明記された「善終」の概念を考察し、施行へ向かう現場での準備を調べることで、台湾社会における「善終」への受容と変化を分析した。新法で新たに導入されたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)制度について、日本との比較をしながら、終末期意思決定における家族の役割について検討した。これに加え、台湾における新法をめぐる議論のなかでは、患者の自己決定への尊重を「親孝行」の一環として推進する発言が見られ、延命治療の差し控え・中止を「善終」という表現が使用された以外、親に「善終」を迎えさせるのも「孝」の表現であると強調されていた。こうした法制化に伴う「孝」の概念の変容とその規範性も考察した。また、「孝」の概念と宗教の関係性についても、祖先祭祀の伝統から、宗教を介して行われてきた台湾のスピリチュアル・ケアの取り組みについても調査した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究はこれまで、終末期医療における「孝」の語りと表現、すなわち「孝」の言説について検討してきた。終末期医療をめぐる意思決定の場面において、親が子を思い、子が親を思うような感情はいかに描写されていたのかについて、小説と映画を中心に分析し、社会心理学の研究に参照しながら「孝」の意義を検討した。当初の研究計画では、古典儒教で記されていた「孝」の概念分析から着手することを予定していたが、2019年の新法施行に伴って、台湾では「孝」の行いを再構成しようとする動きが現れたため、予定していた研究課題の順番を変更し、終末期医療のあり方について、本人、家族、医療関係者との話し合い、いわゆるACP制度において、「孝」の概念がどのように使われているのかについて、台湾の医療関係者への聞き取り調査に方向変更した。2019年度には2回、現地調査を行ったので、台湾におけるACP制度の実態をより把握することができた。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究を踏まえて、今後は1)現代社会における「孝」の受容と2)法制化の際の議論に見られた「孝」の内実の変容を中心に推進していく。台湾において、2019年に「患者自主権利法」の施行に伴い、「善終」に関する社会的な関心が高まり、「安楽死」を合法化する動きもみられている。患者の自己決定や死ぬ権利を求める声が高まっているなか、終末期の意思決定をめぐって本人と家族の間にどのような衝突が生じうるか、それに対してどのような解決策が必要なのかについて、「孝」の観点から分析する予定である。また、終末期ケアの発展を考察するにあたって、宗教の役割も不可欠だと思われるため、儒教で論じられた「孝」の概念以外に、ほかの宗教における終末期意思決定の立場や家族の役割についても考察する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Presentation] The development of end-of-life care and its legalization: on the role of cultural factors in Japan and Taiwan2019

    • Author(s)
      Yicheng CHUNG
    • Organizer
      Asia Pacific Hospice Conference 2019
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] The legislation of end-of-life care and its cultural implication: family participation in advance care planning and the act of filial piety in Taiwan2019

    • Author(s)
      Yicheng CHUNG
    • Organizer
      25th World Congress on Medical Law
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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