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2021 Fiscal Year Research-status Report

The Concept of "Filial Piety" in Confucianism and the Reconstruction of End-of-Life Ethics: On the Comparison of Japan and Taiwan

Research Project

Project/Area Number 18K12195
Research InstitutionOtani University

Principal Investigator

鍾 宜錚  大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (10793672)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords終末期 / 延命治療 / ACP / 尊厳 / 台湾 / 親孝行 / 善終
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、終末期医療における「孝」(日本の場合は「親孝行」)の表現に注目し、延命治療をめぐる意思決定と家族の葛藤を分析することで、患者の「最善な利益」や「自律の尊重」など従来の倫理原則とは異なる「孝」の観点から捉える終末期医療のあり方と家族との関係性に基づいた倫理原則の提示を目的とする。日本と台湾を中心に、それぞれの社会における「孝」の概念と医療決定に際する「孝」の役割を考察し、「孝」の文化がいかに終末期医療方針に影響を与えてきたのかを検討する。
2021年度は、終末期医療における「孝」の表現について、国会議事録で関連の証言を抽出し、道徳心理学の観点からその倫理性を分析した。親子関係の変化に伴って、「孝」の実践の特徴はパターナリスティック型から自律尊重型へと変わりつつある。終末期医療の法制化によって延命治療をめぐる事前の話し合いが推奨されているいま、親の意思を聞き出すことも「孝」の表現としてみなされる空気が醸成されつつある。こうした「孝」の内実の変化を「二重孝行モデル」で分析し、医療現場での「孝」の役割を明らかにした。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って生じた医療資源や終末期の医療現場への影響についても調査し、日本と台湾のトリアージ制度の違いと問題点を明らかにし、感染症対策で顕在化した医療制度の問題、感染者に対する差別やバッシング、行動制限措置によって終末期の意思決定の確認が困難になった実態を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究はこれまで、終末期医療における「孝」の語りと表現、すなわち「孝」の言説について検討してきた。終末期医療をめぐる意思決定の場面において、親が子を思い、子が親を思うような感情はいかに描写されていたのかについて、小説と映画を中心に分析し、社会心理学の研究を参照しながら「孝」の意義を検討した。また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化になったことで、医療現場でどの影響を与えたのかも調査内容に組み込んだ。2021年度は、「患者自主権利法」の実施状況と関連する倫理的問題、パンデミック時に意思決定のプロセスの変化について現地で調査を行う予定であったが、感染拡大で海外への渡航が困難となり、関連資料の入手が難しくなった。また、医療現場では感染症対策に多くの医療従事者を投入しているため、医療従事者への聞き取り調査の予定は当初より遅れる事態が生じた。2020年度に続き、2021年度も現地調査には行けなかったため、文献調査を中心に研究を行った。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究を踏まえて、今後は1)コロナ禍での終末期医療現場の実態と2)東アジアにおける安楽死の合法化をめぐる動きを中心に研究を推進していく予定である。台湾において、延命治療の差し控え・中止を認める「患者自主権利法」(2019年)が施行された以来、「安楽死」の合法化を求める声が高まっている。著名人からの呼びかけもあり、自殺幇助を受けるためにスイスへ渡航した人もいたため、安楽死への関心が高い。コロナ禍において医療資源が払底する事態に備えて、事前指示書を作成して意思表明をする動きも見られた。日本と台湾における感染状況の変化で見られた終末期医療の課題を比較し、死ぬ権利をめぐる議論を整理する予定である。また、2021年度に続き、2022年度にも終末期ケアにおける宗教の役割について、各宗教における終末期意思決定の立場や家族の役割についても考察する予定である。

Causes of Carryover

2021年度では新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航が制限されたことで、海外への出張ができず、その分の旅費と人件費が次年度へ繰り越すこととなった。2022年度では、感染状況により渡航制限が解除されることが予想されているので、国際会議への現地参加や台湾への現地調査の再開に使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 「孝」に基づく終末期医療の意思決定と家族の役割の考察―「二重孝行モデル」の分析を手がかりに2022

    • Author(s)
      鍾宜錚
    • Journal Title

      大谷大学真宗総合研究所研究紀要

      Volume: 39 Pages: 163-180

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 台湾における「善終」の法制化と宗教的実践2022

    • Author(s)
      鍾宜錚
    • Organizer
      大谷大学真宗総合研究所東京分室主催公開シンポジウム「宗教といのち―日韓台の終末期医療の現状から「良い死」を考える」
  • [Presentation] 台湾における集中治療のトリアージ制度について2021

    • Author(s)
      鍾宜錚
    • Organizer
      日本学術会議哲学委員会いのちと心を考える分科会主催公開シンポジウム「コロナ禍におけるトリアージの問題―世界の事例から日本を考察する」
    • Invited
  • [Presentation] COVID-19が終末期医療にもたらした影響―台湾の法制度への挑戦と課題―2021

    • Author(s)
      鍾宜錚
    • Organizer
      日本生命倫理学会第33回年次大会公募シンポジウム「COVID-19と終末期医療―日本、韓国、台湾と英米の比較を通して―」

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Published: 2022-12-28  

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