2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Later Navya Nyaya Metaphysics based on Raghunatha's Commentarial Works
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18K12197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 陽一 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40616546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インド哲学 / 形而上学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画に従い、『ニヤーヤ・リーラーヴァティー・プラカーシャ・ディーディティ』のふたつの写本の翻刻と解読に作業の重点を置いた。冒頭から読み進め、全体の3分の1ほどの部分について内容目次を作成することができた。翻刻したテキストはTEI準拠のXMLでマークアップしており、現在、令和元年度中にオンライン公開するべく精度を高めている。写本のテキストには誤りが多く、かなり手を入れないと読める状態にならない。また、写本の使用文字はデーヴァナーガリーではあるが、代表者がこれまで扱ったことない字形が多く見られ、解読には時間がかかった。一方、テキスト整備の作業と並行してラグナータ形而上学の思想史研究・哲学的研究も進めており、初年度は刹那論を重点的に検討した。方法としては、『~ディーディティ』の論述を参照しつつ、既に解読研究を進めてある同著者の『パダールタ・タットヴァ・ニルーパナ』の刹那論を再検討するというかたちをとった。その特筆すべき結果として、ラグナータの刹那論と『ニヤーヤ・リーラーヴァティー・プラカーシャ』におけるヴァルダマーナのそれとの関係が明らかになり、ラグナータの形而上学を独創的かつ革新的であるとする従来の思想史理解に再検討を迫る、重要な知見を得られた。その詳細については令和元年度の学術大会において口頭発表するほか、テキストの英訳を添えて論文にまとめる計画である。また、『~ディーディティ』と『パダールタ・タットヴァ・ニルーパナ』とでラグナータが異なる結論を述べているということも明らかになった。この点を検討することにより、何を目的として世界を記述するのかということを考えることができる。こうして、ラグナータの哲学、ひいては新論理学派の哲学の根本に関わる問題を扱う見通しが開けてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『ニヤーヤ・リーラーヴァティー・プラカーシャ・ディーディティ』の写本翻刻は、当初計画では初年度中にすべてを行うことにしていたが、3分の1程度までしか進まなかった。「研究実績の概要」で述べたように、写本に誤りが多く、また難読字形が少なからず見られたためである。しかし写本の癖には既に親しみ、難読字形もおおかた読めるようになったので、次年度に遅れを取り戻すことができるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画からの遅れを取り戻すため、まずは写本の翻刻を継続し、年度の前半に仕上げたい。令和元年度はそのテキストのインターネット公開も必須の作業と位置付けている。この巻き返しの作業に加え、当初計画で二年目の作業としていた、『キラナーヴァリー・ディーディティ』の内容分析にも着手する予定でいる。仕事量は多くなってしまうが、令和元年度は翻刻の校正や資料整理に技術補助スタッフを雇用し、効率を高めて、計画の遂行を図る。
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Causes of Carryover |
国内資料調査のための国内旅費を計上していたが、別用務での出張の際に合わせて資料調査を実施しため、旅費を節約することができた。これは次年度、人件費等に振り替えて研究の進展を図るつもりである。
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Research Products
(4 results)