2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Later Navya Nyaya Metaphysics based on Raghunatha's Commentarial Works
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18K12197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 陽一 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40616546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 形而上学 / インド / ヴァイシェーシカ / 時間 / 主宰神 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は時間論と主宰神論に注目しつつ、ラグナータの形而上学の全貌を明らかにしようとするものである。2年目は前年度からの継続として時間論の検討を進める一方、主宰神論の検討にも着手した。時間論についての資料研究は初年度に進めてあったため、それにもとづき、ラグナータの時間計測に関する形而上学的議論について9月の日本印度学仏教学会学術大会で発表したほか、同学会の学術誌に論文を投稿し、年度末の3月に出版された。この研究で得られた主たる知見は、ラグナータの時間計測論が「多様な原因から同一の結果は生じない」という因果論の命題を受け入れるか否かに帰着するという点である。因果論については同時進行中の他のプロジェクトで研究していたが、本研究と接続し、最終年度でさらに検討を深める。 主宰神論についてはラグナータの注釈写本を文字起こしするところから始めたが、ラグナータの著作を解読すると同時に、他の領域の文献も調査した。本研究で注目するのは、時間を主宰神と同一視するラグナータの形而上学的主張であるが、この起源として、マハーバーラタ、とくに『バガヴァッド・ギーター』で知られる「時間としての神」の思想(カーラヴァーダ)に着目した。2年目はカーラヴァーダに関する先行研究を網羅的に調査し、ラグナータ形而上学と古代のカーラヴァーダの比較を行った。結果として、ラグナータが考える「時間」と、カーラヴァーダの運命論が考える「時間」とはそのはたらきが異なるため、安易に関連付けて論じることはできず、歴史的背景をさらに分析する必要を認識するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に注力する予定であった2月と3月は、疫病対策のためにほとんど時間を取ることができなかった。そのため、電子テキストのインターネット公開と、論文の執筆とが遅れている。これについては、最終年度、研究補助学生を雇用してデータ整理等を進めてもらうことで、効率化を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に参加を予定していた国際学会ふたつが延期になってしまったので、研究成果については論文のかたちで発表していきたい。最終年度は、時間論、主宰神論、そしてラグナータ形而上学の総論に関する論文の計3本を執筆、投稿する計画である。また、3分の2まで進めている写本翻刻を進め、最終年度中に完成させ、インターネットで公開する。
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Causes of Carryover |
8月に肺炎を患い、予定していた出張をキャンセルせざる得なかった。また、2月・3月も新型コロナウイルスのため、出張が多数取りやめになった。最終年度もほとんどの出張が取りやめになる予定だが、研究が遅れた分、効率アップのため補助の学生を雇用する費用に使用したい。
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Research Products
(2 results)