2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Later Navya Nyaya Metaphysics based on Raghunatha's Commentarial Works
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18K12197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 陽一 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40616546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形而上学 / インド哲学 / ヴァイシェーシカ / 時間 / 主宰神 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は時間論と主宰神論に注目しつつ、ラグナータの形而上学の全貌を明らかにしようとするものである。時間論については前年度の研究でひとつの結論を得ることができ、今年度はそれを英語論文にまとめ、Nagoya Studies in Indian Culture and Buddhism: Sambhasa で公表した。 今年度は新型コロナ蔓延への対応で研究時間が思うように確保できなかったが、研究補助を雇用し、なんとかNyayalilavatiprakasadidhiti を通読することができた。ラグナータの主宰神論そのものについては新しい発見には至らなかったが、先行文献と対照しつつ研究を進める過程で、ラグナータ形而上学の特異性をさぐる手がかりを生成力(śakti)論に見出すことができた。ミーマーンサー学派とニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の間では、生成力の存在論をめぐって長い論争が行われてきた。ラグナータに先行するガンゲーシャは生成力の存在論を主宰神論のなかで論じているように、歴史上、生成力論には多様な論点が導入されている。そして、ラグナータの生成力論にも独自の論点が見られる。ラグナータはニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の定説に反し、ミーマーンサー学派に追随する主張を行っているが、ミーマーンサー学派をただ支持するのではなく、独自の形而上学的視点にもとづく検討を行っている。そしてそこには、筆者がこれまで明らかにしてきた、ラグナータの形而上学に通底する簡潔性原理と因果論が鮮明に現れている。ラグナータ形而上学を俯瞰する総論として、以上のことを国内学会で報告する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度は新型コロナ対応で学務が膨れあがったため、なんとか英語論文を1本執筆することができたものの、まだ研究発表が不十分である。また、校訂テキストの電子公開も実現していない。テキストの解読・分析は進んでいるので、成果発表をさらに推進する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目の7月に東海印度学仏教学会での発表を予定しており、既に発表申請は受理されている。同学会の発行する学術誌にフルペーパーを投稿するほか、英語論文をひとつ、国際誌に投稿し、論文2本を4年目の最低要件としたい。繰り越した予算は国際学会への出張に使用する予定であったが、すでにどの学会も延期が確定したため、英文校正や国内出張に使用する計画でいる。
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Causes of Carryover |
国際学会が延期となったために、その旅費を次年度に繰り越したが、4月以降本日に至るまでに再延期が決定してしまった。残額は、本研究課題の成果報告に伴う英文校正費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)