2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Later Navya Nyaya Metaphysics based on Raghunatha's Commentarial Works
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18K12197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 陽一 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40616546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形而上学 / インド哲学 / ヴァイシェーシカ / 力能 / 因果論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の方向性は「ラグナータは何をしようとしたのか」を解明することへと向かった。今年度は、前年度に開始した「力能(sakti)」の研究を継続・発展させ、ラグナータがヴァイシェーシカ学派の伝統に反して力能の実在性を承認する意図を探った。その成果は主に東海印度学仏教学会での口頭発表(7月)、同学会の学術誌での論文掲載(3月)として公表したほか、丸井浩氏(武蔵野大学教授)が開催する研究会でも成果の一部を報告し、他の研究につなげるための問題提起を行った。 研究成果の概要は以下のとおりである。力能の実在性をめぐるプラバーカラ派とニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派の論争は、無に因果効力を認めるか否かという問題を焦点として展開してきた。ニヤーヤ・ヴァイシェーシカ学派は、存在者が結果を生み出すことがあるのと同様、非存在者すなわち無も結果を生み出すことができると考える。これを承認しないプラバーカラ派は、否定的因果関係を説明するために力能の実在を想定する。この問題に関し、ラグナータは、無に因果効力を認めているにも関わらず力能の実在を主張する。その意図は、より簡潔な体系を構築しようという、それ以外にないようにみえる。 また、本研究の過程で、力能論争においては「多様な原因から単一の結果は生じない」という原則が議論を左右していることが分かり、またこの原則に対するヴァイシェーシカ学派内での見解の相違も明らかになった。本研究は今後、この原則の根拠と妥当性をめぐり検討を進めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際学会に参加しての情報・意見交換を予定していたが、いずれも疫病のため延期・再延期となり、実現していない。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた国際学会は結局すべて中止またはオンライン開催になることが2022年度になって確定したので、この予定は撤回し、2022年度中に本研究を完了する。
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Causes of Carryover |
国際学会が延期となったために、その旅費を次年度に繰り越したが、4月以降本日に至るまでに中止またはオンライン開催が決定してしまった。残額は成果発表のための英文校正等に使用する。
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Research Products
(2 results)