2020 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking the formation of the twelve links of dependent origination
Project/Area Number |
18K12198
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
名和 隆乾 大阪大学, 文学研究科, 講師 (20782741)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 縁起説 / インド初期仏教 / 輪廻 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に完了出来ていなかった,ジャイナ教白衣派古層聖典ならびに叙事詩文献からの「カーヤ」の用例調査を完了した。 また本年度予定していた,本研究課題における調査全体に基づき,各用例の理解を再検討する作業を行った。併行して,電子資料公開用データ(しおり付,検索可能なMS Word, PDFファイル)の準備を行った。 本研究課題によって得られた結論は次の通り:『サンユッタ・ニカーヤ』第12章(「因縁相応」)第2経(「分別経」)に含まれる十二支縁起説は,その第3支「識」と第11支「生」との2箇所において生まれ変わりを含む,いわゆる三世に亘る縁起説である。また,この「分別経」に含まれる十二支縁起説では,12支のうち,第3支「識」,第6支「触」,第7支「受」,第8支「愛」という4支のみが,「六識身」の様に「六識身」という表現を有する。この理由は,この十二支縁起説が,六処(眼などの感覚器官)から先の「識」などの4支が生じることを述べる,いわゆる五支縁起説を取り込んでいる為である。この時更に,「六識身」の様に「身」という語が付される理由は,感官の対象(視覚対象)が,五支縁起説では常に複数形で表されることに由来する。すなわち,「身」(skt. 「カーヤ」,「積み重ね,集まり」という程の意味)を付すことで,その複数性を集合的に表したものである。 なお,新型コロナ感染症の影響による校務増加などにより,本研究課題は全く計画通りに成果を発表し得なかった。これについては,今後可能な限り早く成果を公開したい。
|