2018 Fiscal Year Research-status Report
A sociology of religion of "post-spirituality": the case of spiritual therapy dropouts
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18K12205
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピリチュアル / 異端論 / 代替性 / メディア / カルト論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は10年前にインタビューした65人のスピリチュアル・セラピストを追跡し、そのうちの10人に再度インタビューをした。この10年の間におけるそれぞれの活動の変化と「スピリチュアル」という概念に対しての彼(女)らの意識の変化を確認できた。一方、活動を中止した、追跡が難しい方々も多くいるため、追跡調査に時間がかかっている。 インタビュー調査と同時に、スピリチュアリティを批判する一般出版物やサイト・ブログなどにおける言論の分析を開始した結果、「脱スピ」を提言する方々の考え方は少なくとも三つあることがわかった:1)ファッションや商売目的でスピリチュアルに関わっている人々への批判、2)「スピリチュアル」を日常の中に探すのではなく、「不思議な・宗教的な」こととして扱っている人々への批判、3)自分の人生を自分できめるのではなく、「教祖」や「スピリチュアル指導者」を頼ってしまう人々への批判。このように「脱スピ」の言論は多様でありながら、1995年以降の日本における「カルト」論や11世紀以降のキリスト教圏に見られた異端論(heresiology)などとの共通点を持ちうるといえることから、代替宗教(alternative religions)への批判に関する文献調査も行った。 なお、本研究の理論的な枠組みをまとめた「現代宗教と代替性」という講演を、東北大学国際文化研究科国際日本研究講座にて行い、また、「スピリチュアル」の代替性を批判的に扱ったメディア論の中の事例として「鳩山由紀夫の政治思想をめぐるオカルト言論」について「宗教と社会」学会第26回学術大会(2018年6月10日)で発表を行った。また、19世紀以降の日本メディアにおける新宗教団体への批判を分析し、メディアにおける異端論と日本人論としてのアニミズム概念の出現との関連性についての論文(2019印刷中)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な枠組みを明確に決められた。また、インターネット上の言論が大幅に把握できた。そして、インフォーマントもある程度インタビューできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は前年度からインタビューを継続した、10年前のインフォーマントの話を聞き続けながら、新しいインフォーマントも確保する。また、スピリチュアリティ批判の文献とインターネット上の傾向を追跡しつづけ、「脱スピ」の運動の規模を確認する。理論的には「脱スピ」論を異端論の中に位置付け、現代日本社会における宗教意識との関連で考えていく。特に、John B. Henderson(The Construction of Orthodoxy and Heresy, SUNY Press, 1998年)が解明した異端論の構築課程が「脱スピ」論に適応できるかどうかを確認したい。また、「脱スピリチュアル」の言論を中心に国際宗教社会学会(バルセロナ7月9日~12日)と日本宗教学会第78回学術大会(帝京科学大学,9月13日~15日)で発表を行い、Journal of Contemporary Religionの学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
2019年度は国際宗教社会学会(バルセロナ7月9日~12日)で発表する予定を立てている中で、7月にスペインへの航空券の値段をより高く予想したため、当初予定していた2019年度の外国旅費が足りないと分かり、2018年度の支出を減らした。
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