2021 Fiscal Year Annual Research Report
A sociology of religion of "post-spirituality": the case of spiritual therapy dropouts
Project/Area Number |
18K12205
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
GAITANIDIS IOA 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (90715856)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピリチュアリティ / 消費者問題 / 架空請求 / 宗教と消費 / 「霊感商法」 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一時期スピリチュアリティ文化の中心となっていたにもかかわらず後にその文化から離れた人々、いわゆる「脱スピ」した人々の言説の分析であった。プロジェクト期間中にコロナ禍が発生し、「脱スピ」論者のインタビューができなかったものの、一年目の文献調査を経て、二年目で行った「脱スピ」論者のブログ記事(504件)の分析を通して、脱スピ論者が求めている「スピリチュアリティ」像を確認できた。「脱スピ」論者は「スピリチュアル」が商売の対象にならなければ、「本質的に善い」ものであると考えていたと分かった。しかし、「宗教は公益を提供するものである」という規範的な想定が「脱スピ」論者だけではなく、「聖の商業化」を嘆くスピリチュアリティ研究者や「団体としての宗教」の批判者にもあるといえる。2021年のヨーロッパ日本研究協会の大会でこの議論を発表した。 なお、スピリチュアリティの「悪い」面が実際にどのようなトラブルに繋がるかを確認するため、本研究の三年目にLEX/DBの判例データベースを使い、「霊能」、「占い」と「スピリチュアル」という検索キーワードの結果(306件)を分析した。そこで大半(180件程度)を占めていたのは、提供されたスピリチュアル・サービスが架空のものであるかどうかという争点だった。四年目の調査で、このような問題の変遷を追跡した結果、現代は架空請求が消費者問題の中心に位置付けられているからこそ、「脱スピ論」と似ている「霊感商法」論が注目されるようになったと分かった。「脱スピ」現象は、近年認識が広まっている架空請求というトラブルを背景にした消費社会現象なのである。この議論については日本宗教学会の2021年度大会で発表し、2022年の秋に出版される予定の英語単著Spirituality and Alternativity in Contemporary Japanでまとめた。
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