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2021 Fiscal Year Research-status Report

タイ上座仏教海外派遣僧プログラムの布教方針とその英国における実践形態の分析

Research Project

Project/Area Number 18K12207
Research InstitutionKobe City University of Foreign Studies

Principal Investigator

小布施 祈恵子  神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (90719270)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords上座仏教 / ナショナリズム / イスラモフォビア / 反植民地運動 / 仏教復興運動 / 布教 / タイ / 東南アジア
Outline of Annual Research Achievements

2021年度はCOVID-19のパンデミック継続のため、前年度に引き続き英国における現地調査が行えなかった。このため海外派遣僧プログラムにおいて改宗者の獲得という目的が近年特にクローズアップされるようになった経緯を、現在南・東南アジアで広がりつつあるイスラームが仏教の存在を脅かしているという言説をふまえてさらに解明するべく文献調査を行った。
この結果以下の点が判明した。1)タイ国内における仏教保護運動は常に何らかの内的・外的「脅威」の概念を想定して展開されており、外的脅威としては、1980年代の反カトリック運動が現在の反イスラーム感情のいわば前身であること。一方内的脅威としては仏教僧の堕落等が指摘されるが、サンガ組織は外的脅威を強調する傾向にある。2)またこのような反イスラーム感情を持つサンガ関係者が、同じ上座仏教多数派社会であるミャンマーやスリランカで同様の見解を表明している仏教指導者との協力体制を築く動きもある。これはイスラームが仏教の脅威であるという言説がこれらの上座仏教社会の間で相互に強化されている可能性を示唆している。3)さらに、このような外的脅威を想定した仏教保護運動は、主にこれらの国々で英国に対する反植民地・帝国主義運動として19世紀におこった仏教復興運動と共通する性格を持つ。したがって現在の反イスラームの動きに基づく海外仏教布教強化の方針は、19世紀の植民地時代から国民国家の確立のプロセスを経て現在に続く仏教ナショナリズムの流れの一部としてより通時的に分析する必要があると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究課題は、最終年度に英国における現地調査を行う予定であったが、COVID-19パンデミックの影響で予定していた調査を行うことができなかったため、研究の進捗に遅れが生じている。このため補助時事業期間再延長に申請し、承認を得た。またパンデミックが収束すれば現地調査を行う予定であるが、現在は前年に引き続き関連文献の検討を中心に研究調査を行っている。

Strategy for Future Research Activity

前項で述べたように、補助期間再延長後の最終年度となる2022年度は、現地調査再開の機会を待ちつつ、関連文献の検討を中心に調査を行ってゆく。具体的には上座仏教社会における仏教保護運動や布教活動の展開を、仏教ナショナリズムの一種と位置づけ、19世紀から現在に至るまでの経緯を、植民地時代から国民国家の形成などそれぞれの政治社会的文脈をふまえた上で通時的に分析してゆく。

Causes of Carryover

COVID-19 パンデミックの継続により、補助期間延長後の最終年度に予定していた英国における現地調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。このため補助事業期間の再延長申請を行い、承認された。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Book (1 results)

  • [Book] 西尾哲夫・東長靖編 中東・イスラーム世界への30の扉2021

    • Author(s)
      小布施祈恵子「翻訳『コーラン経』から「日本色のイスラーム」まで」
    • Total Pages
      35-6
    • Publisher
      ミネルヴァ書房

URL: 

Published: 2022-12-28  

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