2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における「宗教右派」の概念構築と実態把握についての宗教社会学的研究
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18K12208
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
塚田 穂高 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (40585395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宗教学 / 宗教社会学 / 宗教概念論 / 宗教右派 / 戦後日本 / 政教分離 / 宗教団体の政治活動 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の平成30年度は、特に戦後日本の「宗教右派」に関わる文献類や報道記事の網羅的収集とリスト作成、アーカイブ化のために多くの時間を費やした。具体的には、まず、全国紙データベースで「宗教右派」や関連語句を検索した結果のリスト化を行った。また、国立国会図書館サーチ、CiNii、J-STAGE等での「宗教右派」と関連語句の検索結果をリスト化し、文献を網羅的に集めた。関連する書籍の収集も行った。あるいは、「宗教右派」の諸運動が関わってきた戦後日本の政教分離訴訟に関わる文献や、中学・高校の教科書記述の収集・整理も集中的に行った。研究課題に密接に関わる、複数の宗教運動の機関誌・紙、出版社の刊行物のリスト作成を行った。 次に、戦後から現代に至るまでの「宗教右派」の動向について、複数の研究者ならびにジャーナリストらにインタビューを行うとともに、情報交換・意見交換を行った。 「宗教と社会」学会、日本宗教学会、日本社会学会、ならびに韓国における2つの国際シンポジウムにおいて、本科研で収集した資料を活用し、広い意味で本科研課題に関わる研究報告を行った。 本科研で収集した資料を活用しながら、「宗教が政治に関わるということ」(西村明責任編集『いま宗教に向き合う2 隠される宗教、顕れる宗教 国内編Ⅱ』岩波書店所収)、「愛媛玉串料訴訟の宗教-社会史」(2019年6月刊行予定)、「高校「政治・経済」教科書のなかの「信教の自由」「政教分離」」(2019年8月刊行予定)の3論文、「戦後宗教の右派性」(大谷栄一・菊地暁・永岡崇編著『日本宗教史のキーワード―近代主義を超えて―』慶應義塾大学出版会所収)、「ポストオウム 逆風のなかで日本の新宗教が探る「第三の道」」(文藝春秋編『2019年の論点』文藝春秋所収)、「宗教」(自由国民社編『現代用語の基礎知識2019』自由国民社所収、共著)の3つの小論を執筆し、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の「研究実績の概要」で示した通り、1年目の平成30年度は、資料収集とデータベース構築、インタビュー調査、学会での関連内容報告、論文類の執筆・公表の4点において、計画に沿って順調に進めることができた。 ただし、研究計画にあった、「資料アーカイブ公開のためのウェブサイトを構築し、試験的運用を始める」という点については、ウェブサイト構築と運用開始にまで至ることができなかった。 以上の理由により、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の平成31年-令和元年度は、当初の研究計画通り、特にデータベース・アーカイブのウェブ公開の開始を目指す。 また、戦後日本の「宗教右派」の特性を析出するために、比較の視点を持ち、特にアメリカやインドの「宗教右派」についての文献・資料を収集するとともに、研究者らへのインタビュー調査を行う。 戦後日本の「宗教右派」を直接論じる研究報告を関連学会で行うとともに、専門学術誌への論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
資料収集・整理作業にアルバイトを依頼していたが、平成31年2月分の実施状況に変更が生じたために、ほぼ1日分にあたるアルバイト謝金の分が余り、年度末であったため物品追加購入等で調整ができなかったため、「次年度使用額」9,164円が生じたものである。平成31年-令和元年度における予定された研究計画のなかで、物品費・旅費・謝金の一部として使用していく。
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