2020 Fiscal Year Research-status Report
The Traditional Islam Trend and Sufism in the American Muslim Community
Project/Area Number |
18K12209
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 圭 東洋大学, 文学部, 助教 (60449080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イスラーム / スーフィズム / タリーカ / スーフィー教団 / アメリカ / 伝統主義 / 改宗 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年北米(アメリカ合衆国)で盛り上がりを見せている「伝統的なイスラーム」への回帰を説くスーフィー運動(イスラームの霊性運動)―これをさしあたり「伝統イスラーム運動」と呼ぶ―に注目し、その実態解明に取り組むとともに、この運動を北米におけるイスラームとスーフィズムの展開の中に位置づけることを目指すものである。 令和二年度は、まず昨年から引き続き先行研究の網羅、文献・インターネット上の資料の調査・分析に取り組んだ。近年アメリカのイスラームに関する研究は特に現地で盛り上がりを見せており、毎年多くの成果が出版されている。本研究課題に直接関係する成果にとどまらず、アメリカのイスラームを扱った研究全般を視野に入れて最新の研究動向の把握に努めた。 また、本研究課題の対象となるイスラーム団体やムスリム知識人・活動家たちの多くがホームページやSNSなどオンラインでの情報発信をしており、当該年度もこれらのオンライン上の情報から現地の動向を追跡し、またその分析を行った。特に当該年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大で、対面のイベントの代わりに動画配信やビデオ会議システムを利用したイベントが多数開催されたことから、日本国内からもインターネットを通じて現地の最新の動向をある程度調査することができた。 他方で、年度を通じて国外の渡航が事実上を不可能な状況にあったため、計画していた現地調査を実施することはできなかった。 研究の経過については、当該年度は執筆活動を中心に取り組んだ。年度末の3月にその成果の一部が刊行されたが(赤堀雅幸編『ディアスポラのムスリムたち』)、その他の成果は令和三年度中に刊行予定である。口頭発表は執筆中の原稿に関する経過報告を3月に実施した。またオンラインのブックトークの企画と対談(10月)や上映会の企画・解説(1月)など、当該年度は研究成果の社会還元にも積極的に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和二年度は前年度から引き続き先行研究の網羅、文献・インターネット上の資料の調査・分析を継続したほか、ビデオ会議システムを利用したオンラインのイベントへの参加を通じて現地の状況の把握にも努めた。また研究成果の公開は順次出版活動を中心に取り組み、オンライン・ブックトークや上映会などを通じた社会還元にも取り組んできた。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の拡大で現地調査を実施できなかったことから、研究計画の遂行に支障が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は新型コロナウィルス感染症の拡大が続く見込みであることから、令和3年度も引き続き文献・インターネット上の資料の調査・分析が中心になると予想される。ただし仮に年度内に感染症が収束した場合は現地調査を実施する。実施する場合はシカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ・ベイエリアで調査を行う予定である。また、研究の経過は引き続き口頭発表や出版物として発表する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、平成30年度からの繰り越し資金を含めて、主に海外調査で予算を使用する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大で調査ができなかったため、当初の計画に沿って予算を使い切ることができなかった。平成3年度は、さしあたり図書費と英語での成果発表の校閲費を中心に予算を配分するが、海外調査や国内の遠隔地での学会発表を実施できるようになる可能性を踏まえて、一部を旅費に充当する予定である。なお年度を通じて海外調査の実施が不可能であった場合は、令和四年度への繰越を検討する。
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