2022 Fiscal Year Annual Research Report
Seasonal Rituals and its Economic Aspects in Zen Monasteries
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18K12211
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Research Institution | The Nakamura Hajime Eastern Institute |
Principal Investigator |
金子 奈央 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (00558538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 禅宗清規 / 宗教共同体 / 宗教法 / 宗教儀礼 / 宗教と経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度から平成27年度に助成を受けた科学研究費助成事業・基盤研究(C)「葬送における遺品・貨幣・交換の宗教学的研究―唱衣法の事例から―」の成果を土台に、平成30年度から採用された科学研究費助成事業・若手研究「宗教共同体における周期的儀礼と経済の研究―禅清規に記される役職交代と交割を中心に」の延長計画を中心として研究を進めた。 昨年度まで、中国撰述の諸清規および日本において撰述された諸清規・清規関連文献における禅叢林・禅寺院の役職交代に関わる諸儀礼や、経済的儀礼としての交割(役職引継の際の寺院財産・私的財産の区別と確認)の記述につき読解を進めてきたが、本年度は交代儀礼に確認される共飲食儀礼と宗教的共同体内の人間関係の関わり、宗教的共同体への新入者である掛搭僧にも着目し、併せて中世期の日本禅における役職交代儀礼や交割についても視野に入れつつ、これら数年にわたる研究成果を土台に、宗教的共同体の継続における上記諸儀礼との有機的関連につき考察することを目標とした。
令和4年の夏前頃までには、主として掛搭と寺院内の人間関係に的を絞り、中国撰述の諸清規、日本撰述の諸清規・関連文献や諸記録における役職交代と関連儀礼に関わる記述につき読解を進めた。秋からは、中世から近世にかけての日本の禅寺院における入寺儀礼を中心に、清規関連文献や、著名な禅寺院の歴史文書を対象として読解を進めた。無著道忠の指摘によれば、日本の禅寺院では、入寺儀礼における寺院の確認儀礼(視篆)が中世期に途絶えて、寺券の確認儀礼に取って代わられていたが、近世期に一部の寺院において寺印確認儀礼としての視篆が復興した。無著が指摘した事例はおそらくは元禄期前後の相国寺であることから、相国寺の寺史関係の史料類の読解を進めた。
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Remarks |
『ハーバード美術館南無仏太子像の研究』(中央美術公論社、2023年3月)内のジョン・M・ローゼンフィールド論文(「セジウィック蔵・聖徳太子童子像」)の翻訳、ハーバード大学大学院生研究報告集(部分)の翻訳を担当した。
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