2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the "Legend" and Representations of "Nature" in the Muromachi Period: From the Intersection of Sino-Japan Words and Pictures
Project/Area Number |
18K12225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 瑞木 東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (60794881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然表象 / 和漢 / 16世紀 / 17世紀 / 日本 / 二次的自然 / 故事人物 / 人ならざるもの |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研最終年度の今年度は、1年目にあたる2018年の12月23ー24日の二日間にわたり、東京大学東洋文化研究所にて本科研主催で開催したワークショップ「和漢の故事人物と自然表象――十六、七世紀を中心に」の内容を刊行することに充てられた。 まず、本ワークショップの内容を刊行するために、2019年6-7月にかけて、共編者である島尾新氏(学習院大学教授)と亀田和子氏(ハワイ大学ウエストオアフ校講師)、及び出版元の勉誠出版の編集者・吉田祐輔氏と打ち合わせをし、内容を固める作業を行った。その結果、勉誠出版から『アジア遊学』の特集号として、『和漢のコードと自然表象――十六、七世紀の日本を中心に』という題で年度内に刊行することが決定した。その後、7月中に執筆依頼を各執筆者に送り、11月から翌年にかけて校正作業をし、本年3月に刊行に漕ぎつけた。 本書は、列島の社会構造的、環境的変換期にあたる十六、七世紀に着目し、文学・美術・芸能・歴史学等、分野横断的な視角から自然と人との関係を問い直す試みである。とりわけ、前近代日本において思考・感性・表現等の次元で分野を横断して働き続けた「和漢」のコード・文化システムを通して、この問題を分野横断的に議論するとともに、その文化コードの向こう側をどのように表象し得たかという点についても考察することを目指した。以上の目的のもと、本ワークショップの登壇者に、本趣旨に賛同くださった海外の研究者を加えた、延べ十八名の論考を収録した。 編集の最終段階には、期せずして新型コロナウィルスの感染拡大という事態に見舞われが、自然環境と人という主題がまさに人文学においても重要課題であることを痛感する形となった。今後、本科研の成果を土台としながら、自然環境と人との関係を人文学から問う研究をさらに進めていきたいと考えている。
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