2020 Fiscal Year Research-status Report
Attention Management of the Audience in Classical Hollywood Cinema
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18K12232
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
難波 阿丹 聖徳大学, ラーニングデザインセンター, 准教授 (90781089)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アテンション / アフェクト / 皮膚 / メディウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「アテンション」と「アフェクト=情動」の相関について、更なる理論的検証を行った。両概念を基軸に研究を続行するにあたり、メディア研究を単一の専門的視点から観測することに限界があると認識し、これをメディウム理論として書き直すべく尽力している。とりわけ、「写真」「映画」「テレビジョン」等のメディウムにおける視覚優位の情報処理機構と、「アフェクト」が論じられるコンピュータ以降の触覚優位の情報処理機構の発展とを分けて記述することで、両者の系譜における「アテンション」の在り方について検討を進めた。 具体的な研究実践としては、2020年8月の表象文化論学会オンラインワークショップ「「情動」論の現在ーその多元的前線」を企画実施し、そのメンバーと共に情動論研究会を組織して研究を進行している。これまでに「アフェクト」を多側面から観測するべく、文化人類学、児童心理学、メディア研究、分析哲学、認知心理学等の多様な学術分野から代表的な論者を招いて講演をいただいた。この成果を次年度以降、学術書の形にまとめる予定であり、既に書籍化の企画が進行している。 更に近年のソーシャルメディアの動画プラットフォームにおける「アテンション」の理論的概説として、『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021年)に、論考「動画視聴は自由な意志でなされているのか?―動画プラットフォームにおける能動的なアテンション獲得に向けて」を執筆した。 また2021年日本色彩学会全国大会において「アフェクト」と色彩との関連を検討する研究報告「色彩と霊的イメージ:映像装置の技術的発展と情動の観点から」が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに「アテンション」や「アフェクト」に関する理論的な検証を行っており、その成果を来年度以内に単著と共著にまとめ、刊行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、これまでに得られた成果をもとに、今日インターネット上の動画サイトが、ポップアップ広告等によって、人々の思考力にどのような影響を与えるかを考察し、触覚的ナラティブにおける「アテンション」の制御が、文化や社会行動を誘導する仕組みの解明とその対策の礎を見出していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の継続により海外出張等の旅費を支出することが無くなったため、次年度では集中的に文献研究を続行し、メディウム理論のプラットフォーム作成に尽力する予定である。
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