2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the formation process of the hobby network in the Japanese traditional music training group "Shachu" in modern Japan: Focusing on the cases of Koto and Nagauta groups
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18K12233
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
歌川 光一 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50708998)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 稽古(事) / たしなみ / 趣味 / 箏 / 長唄 / 邦楽 / 社中 / 趣味縁 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に当たる本年度も、2年目に引き続き、近現代日本の稽古文化とself-cultivationをめぐる概念整理を継続した。具体的には、「稽古(事)」「習い事」「たしなみ」「趣味」「シリアスレジャー」の関連性について整理し、共著として成果を発表した。このうち特に「趣味」について、大正・昭和期におけるHobbyの受容過程の解明の重要性が明らかとなった。また、邦楽の趣味縁について分析する際に、「遊芸」「芸事」が主に伝統芸術の習得を示す概念へと変容していった社会背景を見据える必要性を示唆した。 歴史資料の検討として、旧制中等諸学校を中心に、校友会活動、卒業生向け教育事業の展開について整理し、趣味縁形成の前提となるノンフォーマルな教育機会や、Hobbyとしての趣味の受容および展開について検討した。また、数寄者の趣味やネットワーク形成等も参照しつつ、邦楽の社中を含む関連団体の活動に関する資料の収集と整理を行った。さらに、これらの知見に基づき、現代日本の生涯学習・社会教育研究や実践における趣味活動の位置づけに関して考察を加えた。 全体として、2018年度に単著化した『女子のたしなみと日本近代―音楽文化にみる「趣味」の受容』(勁草書房、2019年)の刊行、その成果と課題のとりまとめを中心に研究を進めることとなった。2019、2020年度については、拙著の内容を補う形で、社中や女学校同窓会の校友会活動、同窓会の教育事業等を媒介として形成された趣味縁形成過程について集中的に検討した。2019年度末からのCOVID-19感染拡大の影響により叶わなかった史資料の収集と分析について、今後も継続していく予定である。
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