2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on the exchange of contemporary theater with Network of cultural figures in Kyoto and Osaka during the Meiji era
Project/Area Number |
18K12235
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 隆基 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助教 (00770851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新派 / 歌舞伎 / 十一代目仁左衛門 / 住友吉左衛門 / 大阪朝日新聞 / 大阪毎日新聞 / 新聞小説 / 興行 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、明治30年代の京阪における文化人ネットワークと同時代演劇の関係のなかでも、歌舞伎および新演劇(新派)の動態について調査を進めた。 前年度から継続して、高安月郊の未紹介書簡(約10通)の整理・調査を行い、翻刻作業を進めている。 本年度はとくに、本研究課題における中心的テーマのひとつである、文化人ネットワークと同時代演劇の関係のうち、明治期の大阪を代表する歌舞伎俳優である十一代目片岡仁左衛門に焦点をあて、その支援者としての住友家との関係について講究した。十一代目仁左衛門と安田財閥の関係は従来よく知られていたが、今回の調査で住友家との交流が明らかになったことは、興行の背景にある財界人のパトロネージという問題を考えるうえで非常に重要である。その研究成果は、論文「住友家と歌舞伎:明治中後期における片岡仁左衛門家との交流」(『泉屋博古館紀要』36巻、2020年12月)として公開した。 同時代の最新メディアである新聞が支えた演劇的ネットワークの実態については、大阪の二大紙、すなわち『大阪毎日新聞』と『大阪朝日新聞』による当地の興行界をめぐる覇権争いとそれに関わる歌舞伎俳優への支援(前者は十一代目仁左衛門、後者は初代中村鴈治郎)、自紙掲載の新聞小説の劇化による広報活動の展開等の様態を明らかにし、「明治中後期における新聞と同時代演劇:新聞小説・興行・記録装置」(神山彰編『演劇とメディアの20世紀』森話社、2020年7月)にまとめて公開した。 くわえて「明治期京阪における新派の生成・受容・展開」(立教SFR共同プロジェクト研究 国際論壇「娯楽市場と芸態」2020年12月13日、Zoom開催)と題した口頭発表を行い、明治期京阪において新派(新演劇)という演劇ジャンルが生成された背景と、確立後の展開について明らかにした。
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Research Products
(4 results)