2019 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロニアルの視座から見るフランス近現代美術の状況
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18K12247
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宇多 瞳 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (70735290)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レユニオン / FRAC / リリスム / レアリスム |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、レユニオン(フランス)の現代美術基金(FRAC)について、収蔵作品の傾向、施設の整備状況や運営体制の調査を行なった。調査によって、同地の現代美術基金がレユニオン、マダガスカル、モーリシャス、コモロなどを含む南インド洋地域の現代美術作品を収集・保存する主要機関として、また、同地域出身のアーティストの重要な活動拠点として機能していることを確認した。また、現地のアーティストから話を聞く機会も得られたので、次年度は制度面だけでなく作家研究や作品分析も含めた考察を行いたいと考えている。また、併せて、レユニオンの歴史や文化を紹介する製糖博物館(Stella Matutina)、主に近代美術作品を所蔵・展示しているレオン・ディエルクス美術館、装飾芸術博物館、「キャレルの家」(クレオール様式建築保存館・博物館)、楽器博物館等の博物館施設や公文書館等において資料収集を行なった。 また、研究代表者が行なってきたフランスの芸術理論に関する研究として、2019年度は、フランスにおけるリリスム概念の成立を論じたJ-M・モルポワの著書を紹介する論文(「『リリスム』の生成とフランス・ロマン主義」、清瀬みさを編『カルチャー・ミックス 3』所収、晃洋書房、2020年)と、1920~ 30年代の日本の洋画におけるレアリスムの動向に関する論考(「複数のレアリスム―戦時期日本およびヨーロッパの諸相」、広島市現代美術館編『無辜の絵画 靉光、竣介と戦時期の画家』所収、国書刊行会、2020年)の2本の論文をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は海外調査を行うことができたが、研究代表者の業務により、予定している計画よりは依然として遅れているため、次年度を含めた期間で研究を遂行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査について報告をまとめ、研究会で発表を行うとともに、昨年度から行なっている文献の翻訳を完了させる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の業務のため、二回を予定していた海外調査が一回になったことが理由である。次年度に今年度実施できなかった分もあわせて調査を行う。
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