2020 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロニアルの視座から見るフランス近現代美術の状況
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18K12247
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宇多 瞳 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (70735290)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フランス / 近現代美術 / 植民地主義 / 展示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、西欧美術として一元的に捉えられる傾向にあるフランス美術の輪郭をポストコロニアル研究の視点を導入することにより描き直すことを目的とする。そのために、フランス海外県・海外領土および旧植民地において近代以降の美術が成立した経緯を植民地における西欧モダニズムの受容の歴史として整理し、植民主義と近代美術の複層的な関係が現在のフランスの文化政策にどのような形で影響を与えているのかを明らかにする。 また、現代美術の制作・実践において植民主義への意識がどのように働いているのかを、調査研究及び文献の収集と読解を通して考察するため、フランス本土及び海外県・海外領土の現代美術に関する調査、インタビュー、作品分析を行い、本土以外の公立美術館等で展覧会・文化活動がどのように実施されてきたのか、本土との差異について調査する。本研究ではフランスだけではなく日本の状況も視野に入れ、日本の美術館の展示において美術と植民主義がどのように考察され紹介されているのか、展示の方法や紹介される文脈などを調査する。また、戦中・戦後の日本の美術を、人々の移動や越境、あるいは第二次世界大戦後の国家や社会の再建との関連で考察する。 今年度は海外への渡航が制限されたが、昨年度に調査を行った海外県レユニオンのFRAC(現代美術基金)およびレオン・ディエルクス美術館の活動に関する研究を行い、次年度に論文としてまとめるための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の勤務状況により研究の遂行が遅れているため、次年度を含めた期間で研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス海外県・海外領土および旧植民地の美術に関する資料収集調査と研究を継続的に行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施予定であった調査が新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限により実行できなかったことが理由である。また、20年度末をもって所属研究機関を異動するため、異動先の研究機関で20年度予定調査を含めて21年度に実施することにした。
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