2022 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロニアルの視座から見るフランス近現代美術の状況
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18K12247
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Research Institution | Hijiyama University Junior College |
Principal Investigator |
宇多 瞳 比治山大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70735290)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユニット・ワン / ハーバート・リード / シュルレアリスム / キュビスム / ヘンリー・ムーア / バーバラ・ヘップワース / ポール・ナッシュ / ベン・ニコルソン |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀前半にイギリスを拠点に活動していた芸術家らによって結成されたグループ「ユニット・ワン」が1933年にロンドンのメイヤー・ギャラリーで開催した同名の展覧会のカタログを翻訳した。カタログには美術批評家のハーバート・リードが序文を寄せ、本文は11名の彫刻家・画家・建築家(バーバラ・ヘップワース、ヘンリー・ムーア、ジョン・アームストロング、ジョン・ビッジ、エドワード・バラ、トリストラム・ヒリアー、ポール・ナッシュ、ベン・ニコルソン、エドワード・ワズワース、ウェルズ・コーツ、コリン・ルーカス)に対してリードから向けられた質問への回答という形でまとめられている。回答の中で、ヘップワースやムーアがイギリスの自然に対峙する独自の彫刻論を展開させる一方、アームストロング、バラの作品にはフランスのシュルレアリスム、ナッシュやニコルソン、ヒリアーにはキュビスムの影響がそれぞれ見て取れる。また、東京で生まれ育ったコーツの建築にはジャポニスムの影響が見られる。本研究では、フランスの美術を相対化するという観点から、イギリスのモダニズム美術運動を研究対象とした。メンバーの多くは「ユニット・ワン」の結成の前後に第一次世界大戦または第二次世界大戦に従軍している。様々な芸術的思想を持つメンバーがどのようにグループの結成に至ったのか、フランスとは異なる政治的状況に置かれた彼らの制作姿勢が、戦後のイギリス及びヨーロッパ美術の展開にどのように寄与したのかを本研究では明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症や大学の校務、自身の健康問題により、海外への渡航を含む研究の予定を変更せざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度までの研究内容を深めながら、当初の計画に従って研究を進めるよう努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症への対応として移動が制限されていたことから昨年度までは海外での調査が困難であったが、今年度は使用できると考えられる。
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