2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12252
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
神野 祐太 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (40757473)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 仏像 / 相模国 / 相模川 / 国分寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の流行にともない、寺院や神社を訪問し仏像を調査することが難しい状況が続いた。そのため、4月から9月まではほとんど調査をおこなうことができなかった。 一方、10月から11月にかけて神奈川県立歴史博物館で特別展「相模川流域のみほとけ」を開催することができ、本研究課題の成果の一部を広く一般に公表することができたのは大きな成果であった。特別展図録『相模川流域のみほとけ』(神奈川県立歴史博物館編集・発行)では、令和元年度までに得られた研究成果を踏まえて、論考「相模川流域の仏像」、作品解説49件を執筆した。また、特別展に関連した新聞連載やコラムを執筆し、講座、展示解説をおこなった。 その特別展に合わせて当館に搬入した仏像について、一部実査を行うことができた仏像がある。例えば、海老名市国分寺不動明王坐像、茅ヶ崎市宝生寺銅造阿弥陀如来及び両脇侍立像、同浄見寺銅造弁才天坐像、平塚市明王院観音菩薩坐像等である。国分寺像については、関東では珍しい平安時代の奈良仏師の作例と考えられることや宝生寺像が江戸時代には近くの鶴峰八幡宮の別当寺である常光院に伝来した可能性がわかってきた。これらの実査によって調査したことを資料紹介や論文として公表したいと考えている。 また、海老名市龍峰寺千手観音菩薩立像の高精細な写真を撮影することができた。龍峰寺像は県内の博物館施設で展示されたことがなく、写真撮影の機会も多くなかった。今回、本体と頭部の正面、背面、両側面等をそれぞれ撮影することができ、今後の神奈川の彫刻を研究するうえで非常に貴重な基礎データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の新型コロナウイルス感染症のため、寺院に直接訪問する調査は難しい状況が続いている。そのため、研究期間を1年延長し、できるだけ多くの仏像を調査していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度には、8月~10月をめどに、調査を行いたいと考えている。平塚市延命寺千手観音菩薩立像、同八劔神社不動明王像、相模原市無量光寺他阿真教坐像を候補としている。また、感染状況が芳しく無い状態が続き調査が実施できない場合でも、これまでの研究を整理し、より深めることにも注力していきたい。実査で得られた基礎データや研究成果を資料紹介や論文、報告書として刊行することを大きな目標としたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の流行により、各寺院や神社へ実地調査に行くことが困難であった。さらに、調査をおこなえなかったことから、研究者や大学院生への調査補助の依頼もできず、執行がが滞ってしまった。そのため、1年の研究機関延長を申請し、できるかぎり調査をおこないたい。また、4年間でおこなった仏像調査で得られた基礎データをまとめて報告書を刊行し、主要な図書館や研究機関に送付し、研究成果を公表することに注力したい。
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